2020 Fiscal Year Research-status Report
Parental Responsiveness and Children's Language Development
Project/Area Number |
19K03247
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Research Institution | Osaka University of Comprehensive Children Education |
Principal Investigator |
小椋 たみ子 大阪総合保育大学, 児童保育学部, 教授 (60031720)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 言語入力 / 育児語 / 形態統語情報 / 言語発達 / 動作語 / 行為随伴 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.前言語期から文法出現期の9ヶ月から24ヶ月児の母子の遊び場面の観察録画データから、第一に、母親の事物をあらわす育児語と動作をあらわす育児語の特徴を音韻面と形態統語情報から明らかにし、子どもの年齢による育児語使用に違いがあるか否か検討した。育児語の特徴は、事物育児語、動作育児語とも特殊モーラを含む語や自立モーラの反復が大部分であった。形態統語情報については、事物育児語は格助詞を伴うあるいは格助詞の省略された育児語が単独の事物育児語より多く発せられていた。動作育児語は「する」の動詞や動作誘発助詞を伴っていた。事物育児語、動作育児語とも子ども年齢で有意差はなかった。第二に、養育者は成人語と育児語で子どもに働きかけていることから、事物語と動作語の育児語率(育児語/(育児語+成人語))がその後(33ヶ月)の子どもの幼児語、成人語の事物語、動作語獲得へ及ぼす効果と効果をおよぼす月齢について検討した。その結果、14ヶ月児の母の事物育児語率タイプ、トークンは、33ヶ月事物成人語獲得に正の効果を、また、14ヶ月児の母親の動作育児語率トークンが33ヶ月動作幼児語に正の効果を及ぼしていた。一方、24ヶ月児の母親の動作育児語率は33ヶ月の動作幼児語、動作成人語に負の効果を及ぼしていた。母親の育児語の言語入力の効果は事物語、動作語で異なり、また、子どもの年齢においても異なっていた。 2. 養育者の応答性について、動作語学習における養育者の行為の随伴の意義を明らかにするために、母親の動作語(動作育児語、オノマトペ、成人語動詞)に随伴する母子の行為随伴の有無と時間的タイミングについての分析基準を作成し、14ヶ月児について分析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1.応答性の指標のひとつとして、母親の動作語に伴う行為随伴の分析を行っているが、分析基準を作成するのに時間がかかった。また、データ分析には、多大な時間と熟練が必要で、分析者の時間確保がむずかしかった。 2.「子どもの語彙カテゴリーの発達と養育者の言語入力」の学会発表のために、母親の語彙カテゴリーの分類の見直しに時間がかかり、応答性分析のための時間がとれなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
1.母親の動作育児語、オノマトペ、成人語動詞に随伴する母親の行為、子どもの行為の時間的タイミングの分析を継続する。14ヶ月以外の年齢にも分析を広げる。 2.母親の発話の実用機能の分析の応答的、指示的発話と語彙発達への子どもの気質の関与について明らかにする。 3.子どもの発話がモデルとなる無意味音声、有意味音声に続く15秒以内に発せられた母親の発話の音声模倣を分析する。モデルが有意味語については分析が済んでいるので、無意味音声がモデルについて分析し、音声模倣の語彙発達への効果の論文を作成する。
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Causes of Carryover |
新型コロナ感染拡大でIASCLの国際学会が中止になったため、旅費の使用がなかった。新型コロナ感染が収束し、海外での学会が開催されれば、旅費として使用する。
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Research Products
(1 results)