2021 Fiscal Year Research-status Report
Parental Responsiveness and Children's Language Development
Project/Area Number |
19K03247
|
Research Institution | Osaka University of Comprehensive Children Education |
Principal Investigator |
小椋 たみ子 大阪総合保育大学, 児童保育学部, 教授 (60031720)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 動詞 / 動作育児語 / オノマトペ / 動作・身振り随伴 / 動作・身振りタイミング / 養育者の働きかけ |
Outline of Annual Research Achievements |
前言語期9ヶ月27組、語出現期14ヶ月26組、文法出現期24ヶ月18組の母子のままごと場面の分析から子の動詞獲得における母親の足場づくりを検討した。 1.母親の動作語(オノマトペ、動作育児語、動詞)と動作を表象する身振り随伴の入力のタイミング(前、同時、後、随伴無)は、動詞獲得前の9ヶ月児母親はオノマトペの発話と同時身振り随伴の働きかけが有意に高く、14ヶ月、24ヶ月児母親は動作随伴無の動詞での働きかけが有意に高かった。また、母親動作語の身振り随伴は33ヶ月追跡時点の子動作語獲得へ正の効果は見いだされなかった。さらに、文法出現期の24ヶ月では、母動作育児語随伴無は子33ヶ月動作語(動詞、幼児語形動作語)と負の偏相関(観察時点動作語一定)、母成人語動詞随伴無が子33ヶ月動作語と正の偏相関があり、動作随伴無しで動詞を発話することは33ヶ月動詞獲得へ正の効果があった。 2.母親の3種類の動作語に対する子の動作随伴のタイミングと年齢推移、その後の子動作語獲得への効果を明らかにした。全ての月齢で母動作語は動詞が有意に高かった。また、子の動作を見て(子前動作)、母は動詞を発していた。オノマトペは子動作随伴同時が有意に高った。母動作語後の子動作随伴は前、同時よりも有意に低かったが、年齢上昇に伴い有意に増加し、子が母親の動作語を理解し、動作で応答したことが示された。Tomasello & Kluger(1992)では、子の動作に対して母親は本研究での後にあたるタイミングで動詞を発していたが、本研究では前のタイミングが後よりも高く、日本の母親は子どもが行った動作に対して動作語で応答していた。33ヶ月追跡時点子動詞、幼児語形動作語への効果については、24ヶ月では子の動詞獲得がはじまり(取得率18.6%)、母親の動作育児語に子が動作で反応することはその後の動作語獲得には負の影響を与えていた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.対乳児発話の分析と子どもの語彙獲得への効果については、IASCL2021の国際学会での報告、発達心理学研究、日本言語科学会(SLS)に雑誌論文としてまとめた。 2. 動作・身振り随伴については、分析の年齢を前言語期、語出現期、文法出現期の3時期だけとりあげ、対乳児発話、多感覚入力のひとつである動作・身振り随伴の分析とその後の語彙獲得への効果は分析し、一部は学会発表を行った。 3.応答性の指標である音声模倣については分析は完了している。
|
Strategy for Future Research Activity |
1. 学会発表までしかできていない研究を論文としてまとめる。 2. 母子の発話データのJCHATファイルを整備する。
|
Causes of Carryover |
国内、国際学会ともオンラインで実施されたので、計上していた旅費の使用がなかった。 次年度に、PC購入、国際誌に投稿するための英文校閲の代金、学会旅費、作業謝金として使用する。
|
Research Products
(4 results)