2021 Fiscal Year Research-status Report
デジタル時代のディスコース理解と思考に関する実証的検討およびカリキュラムの提案
Project/Area Number |
19K03253
|
Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
犬塚 美輪 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (50572880)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 優子 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30701495)
藤本 和則 近畿大学, 経営学部, 教授 (80424993)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | デジタルメディア / ディスコース理解 / 批判的思考 / 説得 / 印象形成 / Elablration Likery Model |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,信頼性の低い情報が多様なデジタル表現で提示されたときに,人がその情報をどのように理解するかを検討し,モデル化と教育への提言を目指す。 21年度は,文献調査の結果の一部について誤情報拡散効果に関するレビュー論文としてまとめた。また,対面で計画していた実験をオンラインで実施し,偽科学的な主張に対してソーシャルネットワークによる他者の意見提示がなされることの影響について検討した。予備的に実施した結果については日本心理学会において学会発表を行った。 予備的実験からは,他者のコメントの価値づけ(Valence:Negative-Positive,メイン情報に賛同するかどうか)の影響がNegativeにおいてのみ見られるということを再現した。ただし,その影響が生じるプロセスについては明確ではなかった。そこで本実験では,Elaboration Likelihood modelを援用し,コメントの価値づけ(Valence:Negative-Positive)と精緻化情報の有無(Elaboration)に注目し,他者のコメントが影響するプロセスをより明確にすることを目的とした。結果からは,主張の内容とは無関係な印象と,内容に関する推論や批判的検討を経て,印象形成と判断,主張への賛同に影響することが示された。先行研究では,主張に対する印象形成や判断に他者の意見が影響するプロセスを「同調」として解釈するものが多いが,本研究では,内容に関する検討のプロセスに提示される意見の質が関連していることを示し,より心理学的に精緻な説明を行うことができた。本実験によって得られた結果については投稿準備中である。 本研究と並行して,異なる提示フォーマットを用いて,他者の意見による批判(Challenge)の焦点が異なることがどのように影響するかを検討する実験を計画し,実験材料の検討・作成を行った。次年度実験を実施し21年度の結果と併せて,デジタル表現における理解・思考により広範に適用できる知見の獲得を目指す。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウイルスの感染拡大により,予定していた実験をオンライン実験へと変更した。また,小中学校での参与観察や介入検討が実施できなかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
オンラインでの実験実施を進めるとともに得られた知見をまとめモデルを構築する。小中学校での観察や介入が可能になりつつあるため,調査・介入研究を実施していく。
|
Causes of Carryover |
対面で予定していた実験の実施が遅れたこと,また実験実施の助手の雇用を取りやめたことにより謝金の支出予定が大幅に少なくなった。また,参加を予定していた学会がオンラインでの開催になったこと,感染予防対策として対面での打合せを行わなかったことにより旅費の支出がなかった。
|