2019 Fiscal Year Research-status Report
児童生徒のSNS利用行動と友人関係:「現代的」特徴の多義性をふまえた検討と応用
Project/Area Number |
19K03254
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
若本 純子 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (60410198)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 美奈子 奈良女子大学, 生活環境科学系, 教授 (20278310)
西野 泰代 広島修道大学, 健康科学部, 教授 (40610530)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | SNS / 両価的な友人関係 / 児童生徒 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の初年度にあたる2019年度は,本研究における中核的な概念である「両価的な友人関係」について先行研究をもとに概念整理を行い,小学生,中学生,大学生合計約3,300名を対象に質問紙調査を実施した。その結果,全学校段階を通して有効性が認められる「関係不安」と「関係満足」の2側面からなる友人関係の様相が得られ,10項目の尺度の信頼性と妥当性が認められた。一見逆の性質をもつようにみえる関係不安と関係満足は,小中学生では正の相関をもち(中学生において最大値,大学生においては相関は有意ではなかった),その併存が同調的態度を介していじめ場面における傍観行動につながっていることや,双方が高い大学生が友人関係ストレスを強く感じていることなどが見出された。なお,これらの成果については,教育心理学系の2つの学会において4件の研究発表を行った。 並行して,教師を対象とする児童生徒のSNS利用に関する研修プログラム試案を,多少の調整を加えたうえで約100名の教師に対して実施した。本プログラム試案の実施は3年目にあたるが,インターネットポリス制度など,児童生徒の不適正なインターネットやSNS利用に対する規制の枠組みが整ってきている一方,本研究が焦点とする「児童生徒がSNSに熱中するのか」についての教師側の理解は3年前とほとんど変わりがないことが看取された。 本年度後半から,2020年度に予定していた児童生徒に対する大規模質問紙調査実施に向けて研究分担者とともに調整に入ったが,新型コロナウイルスによる学校現場に対する多大なる影響を鑑み,2020年度における調査実施をやむなく見送ることを決定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
年度後半から,2020年度に予定していた児童生徒に対する大規模質問紙調査実施に向けて調整に入ったが,新型コロナウイルスによる学校現場に対する多大なる影響を鑑み,2020年度における調査実施をやむなく見送ることを決定した。それに伴い,質問紙作成の作業もいったん白紙に戻った状態にある。 2020年5月現在においても学校は通常の状態には戻っておらず,2020年度の調査は不可能であると思われる。この調査は本研究における中核的な調査であることから,2021,2022年度の研究進捗にも影響を及ぼすことは必至であり,研究計画の変更もやむなしと考えられる。現時点では,2020年度後半から,2021年度の調査実施に向けて学校と調整に入ることを予定している。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルスにまつわる今後の状況が予測がつかない中ではあるが,現時点で2つの対応策を想定している。まずは,研究目的や内容を維持したまま研究スケジュールを1年間延長することで予定通りの成果を得ようとする対応案である。しかし,学校が通常通りの教育環境に復旧するためにどの程度の時間を要するのか判然とせず,小中高等学校における調査が予定通りにはできない場合も想定しておく必要があると思われる。その場合には,すでに収集したデータを活用して研究の目的の一部のみを達成する,あるいは調査対象を児童生徒から大学生へと変更し,研究モデルについての評価を行ったうえで,小中高等学校における調査が可能になった時点(研究期間が終了後の可能性もある)で改めて調査を実施するという案である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響により,出張や研究活動が大幅に制限されたためこのような事態が生じた。研究自体もすでに遅れが出ているため,現在,研究期間の延長を考慮している最中である。研究期間を延長した場合には,次年度以降も次年度使用額が生じることになるが,研究目的の完遂をめざして,年度遅れにはなるが当初計画した研究計画に基づき費用を使用していくつもりである。
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Research Products
(4 results)