2021 Fiscal Year Research-status Report
児童生徒のSNS利用行動と友人関係:「現代的」特徴の多義性をふまえた検討と応用
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19K03254
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
若本 純子 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (60410198)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 美奈子 奈良女子大学, 生活環境科学系, 教授 (20278310)
西野 泰代 広島修道大学, 健康科学部, 教授 (40610530)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | SNS / コミュニケーション / 若者 / 中高生 / 自己愛 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は2つの実証研究を大学生との共同研究として行った。 ①わが国の若い人の間では好きなこと(インタレストグラフ, 澁谷,2016,以下IGと表記)を共有するために利用されているTwitterにおいて,何が相手への好意と自己開示を規定するのか検討した。268名の20代男女を対象にオンライン調査を実施し,独立変数をIGの類似性と居住地の近接性とした(被験者間要因)。その結果,好意に対してはIGの類似性,居住地の近接性ともに有意な正の効果を示したが,自己開示に対しては居住地のみが有意な正の効果を示した。さらに,オタクをアイドルオタクと二次元オタクに分けて検討を行ったところ,アイドルオタクでは全体と同じ結果であったが,二次元オタクでは好意,自己開示ともにIGの類似性と居住地の近接性の交互作用が有意であり,二次元オタクではIGが一致せず居住地が遠い場合に,好意も自己開示も極端に低下する傾向が示唆された。 ②中高生は,SNSを現実のコミュニケーションを延長・補完するために用い,好きな友人と好きなものを共有・共感し合う(boyd, 2014;OECD, 2012など)ことから,中高生にとって,SNSは居場所になりうると考えられる。そこで,居場所感をSNSと現実で測定し,異同を検討した。その際,「現代的」友人関係にみられる強い承認欲求の背景とされる過敏型自己愛を要因に加えた。中高生199名を対象にオンライン調査を実施した結果,現実よりもSNSの方が居場所であると回答した生徒が約1/3いた。また,2つの居場所感の対象となる交流相手が共通することが有意な正の効果を示し,SNSと現実との連続性が支持された。一方,SNSの居場所感においてのみ,随伴的自尊感情の有意な正の効果が示され,SNSを居場所とすることに承認欲求や「現代的」友人関係が関連している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2020年度に実施を計画していた児童生徒に対する質問紙調査がコロナで実施できなかったのに続き,2021年度は,校務(附属学校園長と教育実習委員長)に忙殺され,研究の時間は全くとれなかった。特に,4月に本学教育実習生にデルタ株陽性者が出て以降,年度末に至るまで教育実習関連業務は熾烈を極め,2021年度に予定していた調査には全く着手できていない状態である。
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Strategy for Future Research Activity |
2年にわたるコロナによって生じた研究の遅れは期間内に取り戻すことは難しいと思われる。そのため,1年間の研究期間の延長を申請することによって対処したいと考えている。
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Causes of Carryover |
校務多忙とコロナ対応のために計画していた調査が実施できなかった。2022年度において,業者に依頼するオンライン調査として予定していた調査を実施する。
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Research Products
(2 results)