2020 Fiscal Year Research-status Report
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19K03260
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
長谷川 真里 東北大学, 教育学研究科, 教授 (10376973)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
越中 康治 宮城教育大学, 大学院教育学研究科高度教職実践専攻, 准教授 (70452604)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 道徳感情 / 罪悪感 / 同情 / プライド / 向社会的行動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、正負両方の道徳感情がどのように道徳的行動(反社会的行動の回避や向社会的行動など)と関係するのかを発達的に探ることである。道徳的行動には道徳感情が大きく影響することが指摘されている。しかし、道徳感情のタイプによりどのように行動と関係するのか、さらにはその関係の発達差についての実証研究は乏しく、総合的に説明する発達モデル構築が求められる。 今年度は、昨年度末に実施した2種類の調査について、データ入力、分析、結果の一部の発表を行った。ひとつは、小学1年生から6年生を対象とし、罪悪感、同情、プライド(道徳的誇り)の喚起場面(各2場面、合計6場面)に対する感情帰属課題と、児童の行動(寄付課題および教師評定による向社会的行動)の関係を探るものである。罪悪感場面において低学年にハッピー・ヴィクティマイザー反応(加害者にポジティブな感情を帰属する反応)がみられた。また、罪悪感喚起場面での「悲しみ」の推測、同情喚起場面での「悲しみ」の推測、プライド喚起場面での「嬉しさ」の推測が向社会的行動と関係が見られた。 もう一つは、大学生を対象とした、道徳葛藤場面/向社会的行動葛藤場面における感情の推測と、本人の実際の向社会的行動および攻撃行動の関係を探るものである。分析の結果、大学生にもHV反応がある程度見られること、向社会的行動場面における感情推測と実際の向社会的行動に関連が見られることが示唆された。しかし、攻撃行動と感情推測に関係は見られなかった。これは大学生の攻撃行動が少なく、個人差を十分に捉えることができていないことも原因の一つと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
収集したインタビューデータのフリーアンサー部分のテープ起こしおよび分析が遅れている。また、双方の大学が一時的に閉鎖状態であったこともあり、日加比較文化研究の投稿準備にも遅れが生じている。予定していた国際学会でのシンポジウムでの話題提供も中止となった。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続きテープ起こしをすすめ、分析および発表を行う。なお、日加比較文化研究の投稿準備も進める。日本人データのみの研究2と研究3については、国内外のジャーナルへの投稿準備を始める
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Causes of Carryover |
2020年度予定していた大会(ギリシャ)でのシンポジウムの話題提供が中止となるなど、学会参加の制限があった。2021年度、国際学会での研究知見の発表、国際誌への投稿などの費用にあてる。
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Research Products
(8 results)