2019 Fiscal Year Research-status Report
中年女性の実母との関係性が自己実現欲求と扶養意識に及ぼす影響
Project/Area Number |
19K03263
|
Research Institution | Mejiro University |
Principal Investigator |
小野寺 敦子 目白大学, 人間学部, 教授 (40320767)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河野 理恵 目白大学, 人間学部, 准教授 (40383327)
小澤 芳子 天使大学, 看護栄養学部, 教授 (60320769)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 中年女性 / 母親 / 自己実現 / 扶養意識 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究課題「中年女性の実母との関係性が自己実現欲求と扶養意識に及ぼす影響」では、40代から60代までの中年女性たちが、高齢になっている自分の母親との関係性をどのようにとらえているのか、また母親への扶養意識が中年女性の自己実現(現在、自分が打ち込んで取り組んでいること・将来への目標)とどのように関係しているかを明らかにすることを目的としている。研究初年度である2019年度では、中年女性に対してWEB調査を実施し624名からの回答を得た。まず、中年女性と自分の実母との関係性を明らかにする尺度の開発を行った。その結果、「うっとうしい母親」「母親への依存」「母親からの依存」「相互独立」の4因子を抽出した。これらの4因子が、40歳代、50歳代、60歳代という年代と母親の健康状態によってどのように異なるかを検討した。2要因分散分析の結果、「うっとうしい母親」と「母親からの依存」において交互作用が有意であった。また「母親からの依存」と「相互独立」では主効果の検討を行った。また婚姻状況と子どもの有無による母親との関係性の検討を行った結果、現在独身で子どものがいない中年女性は実母に対して依存傾向が強いことが明らかになった。次に、「やりたいこと(仕事や趣味)があるのに、母親の世話や介護のためにやれないでいる」「最近、母親と私の立場は逆転していると思う」の単項目と母親の4因子との関連を検討した。さらにこれら実母の関係性の4因子を基に実母との関係性の4群をクラスタ分析によって明らかにし、「相互依存群」「重荷群」「対等群」「希薄群」とした。この4群と母親への扶養意識(「自分が扶養」と「施設」)との関連を検討し、母親との関係性によって母親への扶養意識も異なることが明らかになった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度の前半は、中年女性の母親との関係・扶養意識に対する文献収集、およびWEB調査への準備などを行った。それに引き続き、後半では40歳代、50歳代、60歳代の中年女性に対してWEB調査を実施することができた。したがって2019年度の研究課題はおおむね達成することができたと考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
2020年度は、2019年度に作成した中年女性の母親との関係尺度を用いて、実際に実母の介護をしている中年女性に質問紙調査を実施する予定である。研究分担者の小澤芳子の専門は老年看護学であるため、調査の配布先などの協力が得られる予定である。調査内容は、2019年度に実施した項目に加え、介護負担尺度も加える予定である。調査にあたっては、小澤芳子が北海道札幌にある大学の教員であるため、双方で連絡をとりながら実施していくことにしたい。
|
Causes of Carryover |
2019年度において研究分担者の勤務状況より、経費が使用されなかったことおよび2020年度2月において研究分担者の勤務地である北海道札幌では、新型コロナ問題のために外出自粛などの措置がとられたことがあり、打ち合わせに行く旅費等がかからなかった。このため次年度の繰越額が生じた。今年度は、感染状況や社会的状況を考慮しながら、経費を使わせていただく予定である。
|