2019 Fiscal Year Research-status Report
ルールと操作的知識の構造化が教科学習の促進に及ぼす効果と教材開発
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19K03264
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Research Institution | The Open University of Japan |
Principal Investigator |
進藤 聡彦 放送大学, 教養学部, 教授 (30211296)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
工藤 与志文 東北大学, 教育学研究科, 教授 (20231293)
佐藤 誠子 石巻専修大学, 人間学部, 助教 (20633655)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 知識の構造化 / ルール学習 / 知識操作 / 問題解決 |
Outline of Annual Research Achievements |
以下の2つの実験、調査を行った。 ①従来、算数・数学で取り上げられる数値で表された量の感覚が不十分であるという指摘がなされてきた。その実態を大学生を対象に調査した。調査参加者に面積や体積の数値を示し、それに相当する具体物を選択肢で求める課題を課した。その際、参照事例提示群と非提示群を設けた。すなわち、参照事例提示群では、調査参加者にとって選択肢とは別の大学生にとって既知の具体物とその面積や体積の数値を問題解決の参照事例として提示した。非提示群では参照事例は与えられなかった。その結果、非提示群の正答率は低く、大学生であっても量の感覚が不十分であることが明らかになった。また、参照事例提示群は非提示群に比して、正答率は高かった。この結果は、具体物とその面積や体積が既知の事例を量の判断に自発的には用いていないこと、そうした既知の事例を想起して問題解決に用いることができれば数値で表された量の把握が促進することを示唆する。そのような手続きもルール「p→q」の前件pに既知の事例を代入する代入操作であり、この種の代入操作に関する操作的知識の教授が量の把握に有効なことが明らかになった。 ②学習目標となるターゲットルール単独ではなく,関連するルール群から構成される「知識システム」の中にターゲットルールを位置づけて教授することが効果的であることが報告されている。そこで本研究では,生物学のルール学習において「知識システム」に基づく文章教材を構成し,それがルールの一般化を促すかどうかを検討した。しかし、期待された教授効果は確認されなかった。そこで、誘導法と呼ばれる介入的実験を行った。その結果から、ルールの一般化を阻む原因として、構造化された知識が問題解決に適用可能なものとして実験参加者に認知されない場合のあることが考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナの影響で発表予定であった欧州での国際学会が中止となったため、発表できなかった。また、同じく新型コロナの影響で実施予定であった実験・調査の一部が実施できなかった。しかし、全体としては、概ね計画通りに進行していると考えられるため。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までに実施済みの調査・実験の結果を公表すべく、学会での口頭発表や学会機関誌に投稿の準備を行っている。また、新たに学習内容と操作的知識の構造化が、当該学習内容の理解や問題解決時の適用促進に効果的な影響を及ぼすことを検証する実験を立案しており、今後、実施する予定である。
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