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2020 Fiscal Year Research-status Report

ルールと操作的知識の構造化が教科学習の促進に及ぼす効果と教材開発

Research Project

Project/Area Number 19K03264
Research InstitutionThe Open University of Japan

Principal Investigator

進藤 聡彦  放送大学, 教養学部, 教授 (30211296)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 工藤 与志文  東北大学, 教育学研究科, 教授 (20231293)
佐藤 誠子  石巻専修大学, 人間学部, 准教授 (20633655)
Project Period (FY) 2019-04-01 – 2022-03-31
Keywords知識操作 / ルール学習 / 問題解決 / 科学教育
Outline of Annual Research Achievements

学校教育では「pならばqだ」と一般命題形式で記述しうる法則などのルールが教授される。本研究課題では教授されたルールを変形して使用する知識操作によって、ルールの理解や問題解決が促進されるのではないかという仮説を設定し、調査・実験を通してその検証を行うことが目的であった。本年度、行われたのは主に次の2つの実験である。
①既習の知識が日常の問題解決に適用されにくい原因を誘導法と呼ばれる介入実験を用いて探った。すなわち、塩素系と酸性の洗剤を混ぜると人体に害を及ぼす原因を大学生に問うた。この問題の解決に必要な知識は大学生には既知である。しかし、正答率は著しく低かった。そこで、正答に至るまでに必要な知識を漸次、誘導情報として提示し、どのような認知過程を欠くために正答に至らなかったのかを調べた。その結果、対象者の専門領域によって知識の使用が異なることを示唆する結果が得られた。「pならばqだ」の前件pや後件qに事例を代入する知識操作はそれぞれ代入操作、象徴操作と呼ばれるが、この結果は代入しうる事例の活性化されやすさが専門領域によって異なることを示唆する。
②「金属は電気の良導体である」というルールについて、その物質が金属であることを明示しても、未知の金属には当該ルールが適用されにくいことが知られている。適用を可能にする認知過程で必要になるのは、未知の物質についても「仮にこの物質が金属ならば、電気を通しやすいはずだ」といったルールを問題解決時の推論の手掛かりとすることだと考えられた。こうした知識の使用法も知識操作の一類型と捉えられるが、実験ではルールが問題解決の手掛かりとして使用しうることを教示した群の方がルールの一般的な性質を教示した群よりも未知の物質に対してもルールを適用できる者が多くなった。この結果は教授されたルールが適用されにくい現象の説明として従来の報告にない新たな知見である。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

新型コロナ感染症の影響で予定していた実験の一部が実施できなかったが、2つの調査・実験を通して次の問題につながる新たな知見を得ることができた。また、知識操作について体系的に論じる文章の作成にも着手した。次年度に向けて新たな実験計画の立案も順調に進んでいるため、全体としては概ね順調に進展していると判断した。

Strategy for Future Research Activity

本年度は、既習のルールが日常の問題解決に適用されにくい原因を誘導法と呼ばれる介入実験を用いて探った。今後は日常の問題へのルールの適用を可能にするための教授方略の解明を試みる実験を予定している。既に計画の立案は終え、予備実験を実施した。本実験の結果は学会発表や論文としてまとめる予定である。
本年度実施したもう1つの実験では、ルール「pならばqだ」の前件pに該当する事例であるにも拘わらず、pが未知の事例の場合には当該ルールが適用されにくいことを確認した。そして、ルールを問題解決時の推論の手掛かりとできるようにする知識の使い方を教授することによって問題解決でのルール適用が促進されるという結果を得た。次年度はこの実験データをより詳細に分析し、学会での口頭発表や学会の機関誌に投稿する予定である。
更に、現在、変動幅操作と呼ばれる知識操作を取り上げ、新たにルールの対象領域を拡大し、社会科学領域のルールについて変動幅操作のルールの理解に及ぼす促進的効果について検証する実験を立案中である。次年度には実験を実施する予定である。併せて、本年度に開始した知識操作を体系的に解説する文章を完成し、論文もしくは著書として公表の準備を進める予定である。

Causes of Carryover

年度末に実験結果の詳細な分析を行うために対面の研究会を開催予定していたが、新型コロナウイルスによる所属機関の往来制限の指示もあり開催中止となった。急遽、研究会の開催のための予算を研究遂行上で必要な物品購入に振り替えたが若干の差額が生じたため。

  • Research Products

    (3 results)

All 2020

All Presentation (3 results)

  • [Presentation] 課題解決における既有知識の使用に及ぼす大学教育の影響2020

    • Author(s)
      工藤与志文,進藤聡彦,佐藤誠子
    • Organizer
      日本教育心理学会第62回総会
  • [Presentation] 誘導法によるルール学習研究(1)2020

    • Author(s)
      佐藤誠子,工藤与志文,進藤聡彦
    • Organizer
      日本教授学習心理学会第16回年会
  • [Presentation] 誘導法によるルール学習研究(2)2020

    • Author(s)
      工藤与志文,佐藤誠子,進藤聡彦
    • Organizer
      日本教授学習心理学会第16回年会

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Published: 2021-12-27  

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