2020 Fiscal Year Research-status Report
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19K03271
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Research Institution | Aichi Shukutoku University |
Principal Investigator |
鈴木 紘子 (中村紘子) 愛知淑徳大学, 人間情報学部, 助教 (30521976)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
眞嶋 良全 北星学園大学, 社会福祉学部, 教授 (50344536)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 目的論的信念 / 擬人化 / 認知の二重過程 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は, 擬人化により科学的説明文の理解がどのような影響を受けるかを, 認知の二重過程理論の枠組みから明らかにすることである。擬人化を用いた説明は科学のテキストなどにもしばしば用いられているが,それが科学的説明文の理解にどのような影響を与えるかは議論が分かれている。本研究課題では,擬人化により直観的なヒューリスティックに基づく説明文理解が促進されるのか,あるいは,熟慮的で分析的な説明文理解が促進されるのかを検討する。 2020年度は, Kelemen et al. (2009; 2013)によるteleological belief (目的論的信念) と科学的知識を尋ねる質問項目の日本語版を実施した。目的論的信念とは,自然現象が意図や目的をもって存在するという非科学的な信念であり,科学者であってもタイムプレッシャー下ではこうした信念を受容しやすいことが先行研究で示されている (Kelemen et al., 2013)。調査では,日本人参加者における,目的論的信念と擬人化傾向, 情報処理スタイルとの関係や,タイムプレッシャー下で目的論的信念の受容が増加するかを検討した。その結果, 先行研究と同様(Kelemen et al., 2009), 日本人参加者でもタイムプレッシャー下で目的論的信念の受容が増えることや, 直観性や擬人化傾向が高いほど科学的に誤った説明を受容しやすいことが明らかになった。これらの結果の一部は日本認知心理学会で報告を行った。 今後は擬人化を促進するような課題条件を設け,擬人化によって直観的・熟慮的な科学的説明文の理解過程がどのような影響を受けるかを検討していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2020年度は新型コロナウィルスの影響,および,産前産後休暇を取得したため,当初予定していた反応時間や眼球運動,発話プロトコルを指標とする対面での実験が実施できず,研究の進捗に遅れが生じた。こうした問題に対処するため,非対面でも研究が実施できるよう,オンラインでも可能な実験計画を検討し,そのための技術の習得や予備実験を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は科学的説明文に対して擬人化を促進・抑制する操作を行い,擬人化が科学的説明文の理解に及ぼす影響を検討する。対面での実験が可能になり次第,反応時間や眼球運動,発話プロトコルを指標とする実験を行い,直観的・熟慮的な文の理解過程に擬人化が及ぼす影響を明らかにする。また,対面での実験が困難な場合は,オンラインでの実験を実施し,擬人化傾向と非科学的信念の受容の関係について,より詳細に検討していく予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響および産前産後休暇を取得したことにより,計画していた対面での実験,および,研究分担者との打ち合わせの予定がキャンセルされたため,次年度使用額が生じた。2021年度は,新型コロナウイルスが収束次第,実験や研究打ち合わせの出張を実施する予定である。
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Research Products
(1 results)