2022 Fiscal Year Research-status Report
心的表象能力の発達基盤と社会的役割-マイクロとマクロの視点から
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19K03274
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Research Institution | Osaka Shoin Women's University |
Principal Investigator |
辻 弘美 大阪樟蔭女子大学, 学芸学部, 教授 (80411453)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 実行機能 / 心の理論 / 注意 / コミュニケーション / 他者理解 / 社会性 |
Outline of Annual Research Achievements |
「心の理論」の獲得に注意コントロールなどの実行機能がどのようにかかわるか、またそれらは、「他者に配慮したコミュニケーションスキル」の発達にどのようにつながるか、の問いを明らかにする縦断研究の最終データ収集を行なった。 実行機能発達における注意コントロールの役割については、3歳時点のアイトラッキングを通して得た視線停留測定データが、4歳児点の実行機能を予測するだけでなく(LCICD, 2022にて発表)、5歳時点の実行機能も予測することが明らかになった。また3歳児点の視線データは、同じ課題内容を異なる様式で収集した行動反応と関連性がみとめられ、その妥当性について確認できた。これらの知見を成果として公表した(第86回日本心理学会)。これまでの成果を総合する中で注目すべきは、幼少期の注意コントロールの育ちが、その後の多面的な実行機能の発達のみならず、コミュニケーションスキルの育ちに関連している一方で、「心の理論」の育ちの役割が欧米の研究成果から示唆されているほど、有力な要因ではない可能性を示唆していることである。 心の理論スケール邦訳版の開発では、当該スケールの妥当性と信頼性が十分認められたことを受けて、欧米の当該データと間接的比較を可能にする情報を取得する目的で、心の理論スケール邦訳版の標準化を計画した。そのためにオンラインの全国調査の実施準備をすすめ、2から12歳の子どもをもつ親を対象とした調査から①2,3歳②4,5,6歳③7,8,9歳④10、11、12歳の4グループにおいてそれぞれ100サンプルのデータを収集した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
注意コントロールに注目したアイトラッキングの測定にかかわる妥当性と信頼性の検討、実行機能の発達の縦断研究のデータ収集、心の理論スケール邦訳版の作成とその検証は予定どおりすすめることができた。これらの成果を踏まえて、心の理論スケール邦訳版の標準化実施の可能性が見通せた。
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Strategy for Future Research Activity |
心の理論スケール邦訳版の標準化実施とそれに関連する成果を学術論文として執筆する。
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Research Products
(5 results)