2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K03279
|
Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
福榮 太郎 横浜国立大学, ダイバーシティ戦略推進本部, 准教授 (10638034)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高本 真寛 横浜国立大学, 教育学部, 准教授 (90743790)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 軽度認知機能障害 / 認知機能検査 / ディスクレパンシー / COGNISTAT / MMSE / HDS-R / 認知症 |
Outline of Annual Research Achievements |
軽度認知障害(MCI)は,認知症と健常の境界概念である。現在,我が国ではMCIと判定される高齢者が460万人いると推測される。MCIの予後は,およそ半数が認知症に移行し,半数は,MCIの状態のまま推移するか,正常な状態まで回復する。MCIの予後予測は,脳画像診断や脳脊髄液によるバイオマーカーの研究は進められているものの,これらは被検者への負担や侵襲性が高い。このことから本研究では簡便に施行できる認知機能検査に注目し,検討を行う。またMCIから認知症の移行に関しては,認知機能の低下が生じるが,高齢者の認知機能の低下には,認知症以外にも老年期うつ,せん妄などにおいても生じる。そのため認知機能の低下を生じさせる背景要因が,認知症,うつ,せん妄のいずれに起因するのかといった鑑別も重要となる。 そこで2020年度に認知症の中でも特に多いアルツハイマー型認知症(AD)とうつ,せん妄の鑑別が,認知機能検査を用いてどの程度行うことが可能かを検討した。その結果,せん妄とADにおける明確な差異は認められなかったが,うつとADとの比較においては,うつの方がADよりも見当識,記憶などの認知機能が保たれており,一方ADの方がうつより,注意,理解,復唱,計算,判断などの認知機能が保たれていた。これらの結果より,認知機能検査の結果を精査することが,うつとADの鑑別の一助になることが示唆された。 この結果については,総合病院精神医学32巻3号に原著論文として掲載された。またこの論文が2021年度に当該学会で表彰され,2022年度にはKorean Psychosomatic Societyに招待発表として,発表を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は横浜市立みなと赤十字病院と研究協力の元,検討を行っている。2021年度までは,コロナウィルス感染拡大に伴い,当該病院はコロナ感染患者受け入れを行っており,それに伴い,外部との接触の制限,業務の増大などが生じ,本研究についてもその影響は少なくない。そのためデータの受け渡しなどについて,一定の困難が生じていたが,2022年度後半より,データの受け渡しなどが再開され,これまで蓄積されたデータを含め,今後より検討を行っていく予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
蓄積されたデータの整理,解析を進め,学会等での発表を行っていく。
|
Causes of Carryover |
データの受け渡しが開始されたことにより,横浜市立みなと赤十字病院の研究協力者に謝金を支払う必要が生じているが,研究期間の延長を申請した2023年度も含めた作業を計画している。そのため2023年度においても謝金等の支払いが必要となるため,次年度に予算を繰り越す必要がある。
|
Research Products
(1 results)