2021 Fiscal Year Research-status Report
トラウマ筆記による心身健康・認知機能増進:マインドフルネスと感情神経科学的接近
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19K03285
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
佐藤 健二 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(社会総合科学域), 教授 (10318818)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | マインドフルネス / セルフコンパッション / 心身健康 |
Outline of Annual Research Achievements |
トラウマの筆記による心身の健康・認知機能の増進をマインドフルネスの観点から検討するために,マインドフルネスおよびマインドフルネスを包含するセルフコンパッションが心身の健康に及ぼす影響を検討した。マインドフルネスは現在の瞬間に対して意図的に,判断することなく注意を向けること,セルフコンパッションは自分自身に対する慈しみや思いやりの態度で,「共通の人間性」「自分への優しさ」「マインドフルネス」の3要素から構成される。研究1では,マインドフルネスが衝動性を媒介して先延ばし傾向・抑うつに及ぼす影響を検討した。健常大学生183名(男性64名,女性119名)がマインドフルネス傾向を測定するMAAS日本語版,衝動性を測定するS-UPPS-P日本語版,先延ばし傾向を測定するGPS日本語版,抑うつを測定するSDS日本語版に回答した。分析の結果,マインドフルネスは衝動性を低減させることで先延ばし傾向,抑うつ傾向を低減させることが示唆された。しかし,間接効果よりも直接効果の方が高く,マインドフルネスは,直接的に先延ばし傾向・抑うつ傾向を低減させる,即ち精神的健康を増進させる効果を有することが示唆された。研究2では,セルフコンパッションが友人関係満足度を媒介して心身の健康に及ぼす影響を検討した。健常大学生206名(男性71名,女性135名)が日本語版セルフコンパッション反応尺度,友人関係満足感尺度,一般健康調査票(GHQ28)に回答した。分析の結果,セルフコンパッションが友人関係満足度を媒介して心身の健康を増進させることが示唆された。しかし,間接効果よりも直接効果の方が高く,セルフコンパッションは,直接的に心身の健康を増進させる効果が示唆された。上記より,マインドフルネスが心身の健康を直接的に増進させる効果を有することが示唆され,その要素を包含した筆記法の開発が課題であると言える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
全体的には,進展していると言える。一昨年度までに,トラウマの筆記が心身の健康・認知機能に及ぼす影響,どのような筆記内容が心身の健康および認知機能と関連しているか,昨年度に,マインドフルネスが心身の健康に及ぼす影響が明らかにされてきているからである。ただ,感情神経科学的観点からの検討に必要な生理機器の選定と購入,これまでの研究成果に基づいた実験の実施が遅れている。研究代表者が新たに2つの組織(臨床心理学専攻,総合相談部門)の長となり,業務が増大したこと,教室の代表者であり全学教職科目を担当してきた教員の後任補充人事の選考委員長として1年間にわたって,その業務を遂行してきたことから,生理心理学分野の専門家へのヒアリングおよび実験を実施することが出来なかったためである。こうした点から「やや遅れている」と評価することができる。
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Strategy for Future Research Activity |
まず,当該分野(感情神経科学)の専門家へのヒアリングを実施して,背外側前皮質の血流量を測定する生理機器の選定と購入を行う。次に,これまでの研究成果に基づいて,心身の健康および認知機能の増進に寄与するであろう,トラウマ筆記の教示文の開発に関連する研究を立案・実施する。どのような言葉の増大が心身健康および認知機能の増大と関連しているのかを明らかにする。この研究の実施によって,心身の健康・認知機能を増大させるトラウマ筆記法を開発し,統制条件と比較することによって,その効果を検証する。
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Causes of Carryover |
新たな役職への就任および教員人事担当による業務多忙につき,必要機器の選定・購入および実験の実施が遅れ,当初の研究計画の推進が遅延し,次年度使用額が生じた(理由)。必要機器について,遅延していた選定・購入を行い,研究計画を推進する(使用計画)。
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