2019 Fiscal Year Research-status Report
妊娠教育・不妊治療・里親及び特別養子縁組の移行期における臨床心理学的支援の研究
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19K03286
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
増田 健太郎 九州大学, 人間環境学研究院, 教授 (70389229)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 不妊教育 / 社会的養護 / 里親 |
Outline of Annual Research Achievements |
妊娠教育・不妊教育について学習指導要領に基づいてどこまでが実施可能かについて文部科学省の担当者に面接調査を行った。学習指導要領及び複数の保健体育・家庭科等の教科書・副読本においても、妊娠・不妊については取り扱うことが可能であるとのことであった。地方自治体において、産婦人科医等専門家の特別講話が行われているが、全中学校・高校ではない。 高校教諭・管理職にも面接調査を行った。教科書・副読本を使用しての妊娠教育は行っているが、不妊に対する専門的知識及び必要性を感じられないこと、生徒の性行動との抑制に重点を置いているため、体系的な妊娠・不妊教育は行いづらいとの認識であった。A高校の調査においても、里親・特別養子縁組など社会的養護のことを知っている割合は4割以下であった。不妊教育・社会的養護に関する教育をどの誰がどの教科で行うかの検討が必要である。 オーストラリアのパースの妊娠・不妊教育について、学校・医療関係者及び在住の保護者の面接調査を行った。性教育・妊娠教育は小学校から発達段階に応じて、絵本などを使用して行っており、高校になると妊娠教育・不妊教育も行われている。不妊治療に関して、高度専門技術の発達・生命倫理的問題をどのように教えていくのかが課題である。 社会的養護が必要な児童の95%以上が里親・特別養子縁組であり、学校教育の中で基本的なことを教えることだけで、改めて深く教えなくても、社会文化的な理解が日本よりも進んでいる状況が明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
文科省の担当者の面接調査において、妊娠・不妊教育・社会的養護に関する高校の教育内容について、学習指導要領や教科書・副読本も含めて調査することができた。その上で、実際の学校現場での妊娠・不妊教育、社会的養護の教育の現状を、高校の管理職・教諭・生徒の調査を行うことができた。 また、不妊治療・社会的養護の先端国であるオーストラリアの状況を現地調査で行うことにより、日本の課題が明確になった。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度は日本の不妊教育・社会的養護の現状について面接調査でオーストラリアとの比較において一定のアウトラインを把握することができた。 本年度は、児童相談所において、里親・特別養子縁組を希望する人の動機において、不妊治療がどのように影響しているのか、不妊治療を終えた人が、里親・特別養子縁組で必要とされるサポートについて、心理的・情報的・医学的・経済的側面について質的・量的調査を行う。 性教育の先進国であるニュージーランドでの調査を行う予定であったが、新型ウィルス感染拡大の影響のため、国内での調査への研究計画の変更を行う。
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Causes of Carryover |
昨年度は東京および大阪での不妊経験者の面接調査が感染症拡大での影響で、1月2月が中止になったため、研究予定の変更を行った。本年度も海外での研究調査・学会発表なども行えないと予想されるため、国内で不妊カウンセラーや不妊カウンセリングを受けている人たちへの質問紙調査や面接調査を行うなど状況に合わせた研究計画の練り直しを行う。
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