2020 Fiscal Year Research-status Report
妊娠教育・不妊治療・里親及び特別養子縁組の移行期における臨床心理学的支援の研究
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19K03286
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
増田 健太郎 九州大学, 人間環境学研究院, 教授 (70389229)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 高度生殖医療 / 特別養子縁組 / 不妊治療の保険適用 |
Outline of Annual Research Achievements |
厚生労働省の不妊治療の実態調査の研究において、研究プロジェクトの一員として総合病院・産婦人科等の生殖医療機関、不妊治療の当事者・経験者、20代から60代の一般の人を対象に全国規模での実態調査を行った。その結果、診療機関においての自由診療の費用はかなりの経済的負担があること、不妊治療の保険適用の線引きはかなり難しいこと、不妊治療はかなり精神的負担が大きいこと、特別養子縁組・里親の情報は、医師からの情報提供が一番大きいことが明らかになった。心理的負担を軽減するためには、不妊治療に関してのカウンセリングできる不妊カウンセラーの養成が急務の課題であることが明らかになった。 一方、不妊カウンセラーの研修会を行った際の分析では、不妊カウンセラーが高度生殖医療の知識はあるものの、カウンセリング自体のスキルアップが必要であることが示唆された。不妊カウンセラーの実態調査を行うべく、不妊カウンセラー対象の量的調査研究のための質問紙調査のデザインを検討した。 65組の特別養子縁組を希望している夫婦の不妊治療経験の有無、その内容について調査を行った。不妊治療の期間が10年以上も多く、経済的・心理的負担が大きく、不妊治療の初期の段階でのカウンセリングや自治体での初期の段階での経済的支援が必要であることが示唆された。里親・特別養子縁組を申し込むまでに一定の期間を要するため、申し込む時には年齢が高くなっているケースが多い。不妊治療から里親・特別養子縁組に以降するまでに、継続的な心理的支援が必要であることが、この調査から明らかになった。また、小学校から大学まで、妊娠教育とともに不妊教育、社会的養護の教育が必要であることも示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
厚労省との共同研究により、不妊治療の実態が明らかになり、不妊カウンセラーの実態調査が必要であることが明らかになった。また、特別養子縁組を希望する夫婦の不妊治療の実態も明らかになり、今後の調査対象・調査方法が明確になった。
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Strategy for Future Research Activity |
不妊カウンセラーの実態の量的調査、不妊カウンセラーの面接による質的調査により、不妊に悩んでいる人と、心理的負担を軽減させるための不妊カウンセラーの実態及び養成にどのようなことが必要なのかを明らかにする。 また、不妊治療を受けているクライエント面接過程を分析することによって、どの時点でどのような心理的支援が必要なのかを明らかにする。 日本とオーストラリアのクライエントの面接過程を比較分析することによって、不妊治療および支援のための制度的枠組みの違いを明らかにする。
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Causes of Carryover |
新型コロナ感染症拡大で、海外調査ができず、オンラインでの面接調査になったことで金額に大きな差が生じた。不妊カウンセラーの実態調査を行うための質問紙調査及び工法のためのhome page作成の予算とする。
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