2021 Fiscal Year Research-status Report
共同意思決定に向けた、アルツハイマー病発症前診断の効果的な告知マニュアルの開発
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19K03292
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
和氣 大成 埼玉医科大学, 医学部, 助教 (80815845)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 医学的対処可能性 / アルツハイマー病 / バイオマーカー / 知る権利 |
Outline of Annual Research Achievements |
予防法や治療法を含めて何からの医学的な利益が存在する状況を指す「医学的対処可能性」について文献整理および分析を行った。また、特にアルツハイマー病の発症リスクに関する遺伝学的検査を含むバイオマーカーの情報開示についても先行研究を調査した。これらをもとに、アミロイドPETにより得られるアルツハイマー病の発症リスクに対する十分な説明、説明前の心理状態の把握、説明後の精神症状などのフォローの重要性を備えた情報開示手続きについて、そのプロトタイプの開発に着手した。結果を第45回日本神経心理学会学術集会 (オンライン開催、Live配信2021年9月30日ー10月1日)にて発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
オックスフォード大学哲学科のJulian Savulescu教授らとの議論を深める過程において、応用倫理学的な検討により多くのエフォートが必要であることが明らかになった。このため、本研究を飛躍的に発展させることを目的とした「国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(A))」遂行のための渡英中に、"Make haste slowly"の言葉が指し示す通り、特に応用倫理学面の検討を強化する。
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Strategy for Future Research Activity |
応用倫理学的な議論が活発に行われ、本研究の中核となる autonomy の概念を肌身で理解すべく、各種学会や世界各国の研究者との議論・意見交換を通じて、本研究の応用倫理学的検討をさらに進める。
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Causes of Carryover |
研究補助のために雇用する予定であったリサーチコーディネーター、研究調整事務、データ入力のための人件費は、新型コロナウィルス感染拡大予防策が続く中で外部者の立入が制限されるなど、適切な人材の採用に至らなかったため、計上した「人件費・謝金」の支出が生じなかった。また前年度と同様に、海外出張が延期され「旅費」の支出が生じなかった。被験者に対する電話インタビュー数も、本年度も予定数よりも少ない数となったたため、「その他」の支払いが計上額に満たなかった。一方で、新型コロナウィルス感染予防策のために新たに必要となったオンライン環境は予定通り整備することができ、柔軟に対応することが可能となった。発生した次年度使用額に関しては、本研究の応用倫理学的な検討をさらに強化するため、欧州における倫理関連学会への参加も含めた研究者との議論・意見交換に充当する予定である。
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