2020 Fiscal Year Research-status Report
若年ケアラーの介護経験が人生に及ぼす影響に関する実証的研究
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19K03298
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Research Institution | Bukkyo University |
Principal Investigator |
渡邉 照美 佛教大学, 教育学部, 准教授 (60441466)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ケアラー / ケア / 生涯発達 / 世代継承性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、10代~30代の青年期・成人前期に家族介護をしている、もしくは家族介護を経験した「若年ケアラー」を対象とし、その実態を明らかにすること、そして若年で介護をする経験が人生にどのような影響を与えるのかを生涯発達の視点から明らかにすることの2点を目的としている。2020年度には以下の2点を中心に研究を遂行した。 まず、日本国内のヤングケアラーに関する文献を概観し、学校教育における支援方法を検討した。その結果、教職員と児童生徒の「ヤングケアラー」の認知度をあげることと教職員が早期発見をすることの2点の重要性が明らかになった。そして具体的支援方法として、3つを提案した。1つ目は「話を聞く」ということである。その際、ケアしていることに対し、周囲の大人がポジティブな評価を与えすぎないよう留意することが重要である。ケアをしていることへの労いは必要であるが、過剰に褒めると子どもはあたかも最良の行動であるかのように感じ、自身のケアへの従事により自己効力感を得、自分の将来を狭めてしまう可能性があるためである。2つ目は「他職種他機関とのつなぎ」である。SC、SSWといった教育以外の専門職とのつなぎ、また同じ経験をしている子どもたちとつなぐことも支援のひとつである。3つ目はキャリア教育についてである。中学校までは義務教育であるが、それ以降、就職、高校、大学への進学といった多様な選択肢がでてくる。子どもが進みたい道を閉ざさない方法を共に考えること、学習を支援することが重要である。 次に年度末にWebを用い、15歳から69歳までのケアラー2000名を対象にケアの実態や世代継承性に関する意識、生と死に対する態度等の調査を実施した。分析結果は2021年度前半期に報告予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Web調査を2020年度前半期に実施予定であったが、新型コロナウイルスの影響により、講義のオンライン対応等が発生したため実施が遅れた。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度末にWeb調査を実施したので、2021年5月現在分析中であり、その結果を早々にまとめる予定である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由としては、2020年度の前半期中にWeb調査を行う予定であったが、新型コロナウイルスの影響により本務にも影響があり、Web調査が年度末になったからである。また出張用に計上していた旅費を執行できなかったことも理由の1つである。今後の使用計画についてであるが、2020年度3月にWeb調査を実施したので、2021年度早期に2020年度交付額を執行予定である。そして2021年度は面接調査を実施する予定であるため、申請時の計画通り、謝金の執行や研究結果の報告としてシンポジウム企画料等を執行予定である。
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