2019 Fiscal Year Research-status Report
青少年を対象としたインターネット依存予防教育プログラムの開発
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19K03302
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Research Institution | Kobe University of Welfare |
Principal Investigator |
永浦 拡 神戸医療福祉大学, 社会福祉学部, 講師 (10836224)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野田 哲朗 兵庫教育大学, 学校教育研究科, 教授 (00769979)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | インターネット依存 / ゲーム障害 / 認知 / ストレス対処 / 青少年 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、(1)青少年のインターネット依存傾向に影響を及ぼす要因として、インターネットに関する非適応的な認知(認知的要因)、ストレス対処および情動調節スキル(行動的要因)を仮定し、青少年における「インターネット依存の認知-行動モデル」を構築すること、(2)インターネット依存の認知-行動モデルに基づき、非適応な認知の修正およびストレス対処スキルの習得を目的とした認知行動療法やストレスマネジメントの理論を用いた「インターネット依存予防教育プログラム」を作成し、中学生および高校生を対象にプログラムの実施および効果の検討を行うことであった。 初年度において、インターネット依存に寄与する非適応的な認知を測定する尺度を作成する計画であった。しかし、先行研究を整理する中で、オンラインゲーム、SNS、インターネット動画配信サイトなど、対象となるコンテンツによりその認知的要因が異なると判断した。そこで、ICD-11(WHO,2018)において疾病として認定された「gaming disorder(ゲーム障害)」に焦点を当て、既存のインターネット依存尺度を参考に、ゲーム障害に関連する非適応的な認知に関する尺度項目を選定した。そして、これらの非適応的な認知と、ゲームへの依存傾向との関連、またプレイするゲームのタイプによる差異などについて明らかにするため、中学生、高校生、大学生を対象とした質問紙調査を行うこととした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、インターネット依存のなかでも、ゲーム障害に焦点を当て、ゲーム障害に関連する非適応的な認知に関する尺度の項目選定を行った。令和2年2月以降、尺度の因子構造の検討およびゲームへの依存傾向との関連等について調査する質問紙を作成・配布する予定だったが、COVID-19(コロナウイルス感染症)の感染拡大状況下において、質問紙調査を実施することが困難なため、初年度における調査を延期し、令和2年5月以降にオンラインフォームを用いた調査を実施する。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、ゲーム障害に関連する非適応的認知の尺度を作成し、ゲームへの依存傾向との関連について、さらに主としてプレイしているゲームのタイプを分類し、ゲームのタイプによる関連の差異について明らかにする(研究Ⅰ)。 次に、非適応的認知に関連する要因として、物質依存やギャンブル依存との関連が示唆されている逆境的小児期体験(Adverse Childhood Experiences;ACEs)およびスキーマを仮定し、青少年におけるゲーム障害の依存プロセスモデルの作成、さらに依存の予防に関連すると考えられるストレス対処スキル、情動調節スキルがもたらす影響について検討を行う(研究Ⅱ) さらに、研究Ⅰおよび研究Ⅱで得られた結果に基づき、「インターネット依存予防教育プログラム」を、認知的再構成法などの認知へのアプローチ、トラウマティックストレスに関する心理教育、適応的なストレス対処スキルの獲得、感情や気分の理解およびコントロールをねらいとする情動調節スキルの獲得といった複数のコンポーネントにより構成し、各コンポーネントに該当する授業プログラムの開発を行い、中高生を対象にプログラムの実施と効果の検討を行う(研究Ⅲ)
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Causes of Carryover |
令和元年度(平成31年度)に予定していた質問紙調査がCOVID-19(コロナウイルス感染症)の感染拡大の影響から、実施延期となった。その影響を受け、質問紙印刷費用や統計解析に必要なソフトウェア等の購入を次年度に延期することとなったため。
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