2023 Fiscal Year Annual Research Report
アクセプタンス対処が強迫症状を低減させるプロセスの解明と介入効果の検討
Project/Area Number |
19K03311
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Research Institution | Hiroshima International University |
Principal Investigator |
清水 健司 広島国際大学, 健康科学部, 准教授 (60508282)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 強迫傾向 / アクセプタンス対処 / 森田療法 / 認知的フュージョン / マインドフルネス |
Outline of Annual Research Achievements |
森田療法とは,自らの症状を何とか取り除こうとする懸命な努力が,結果的に本人の意図とは逆に症状の増強を招くという「とらわれ」の打破を目指す精神療法である。強気と弱気を同居させる森田神経質を持つ人々は,何に注意を払いながら健康を保つ努力をしたらよいのであろうか。森田神経質を持ちながら,日々の生活のなかで自分を生かすことができる智慧は自分自身の強みを生かした生き方,あるいはアクセプタンス対処として重要なスキルになると考えられる。本課題においては,当該スキルとして,アクセプタンス&コミットメントセラピー(ACT)における3つのスキルを取り上げることとした。1つめは認知的フュージョン,2つめはマインドフルネス,3つめは行動継続とした。いずれも心身の健康保持においては重要なスキルであり,悪化・緩衝効果としての検討を行った。森田神経質を持ちながらも,どのようなスキルを持ち合わせていたら自己を最大限に生かすことができるのかについて,ACTの観点を含めながら実証的に検討することを目的とした。 森田神経質は,自らに厳しい基準を設け,強気と弱気を同居させる特性を持つことによって,強迫観念の増加リスクに繋がることが示された。ただし,そのなかで認知的フュージョンやマインドレスが増幅効果を,行動継続が緩和効果を持つことが示唆された。これは,森田神経質を持ちながらも,自分自身の思考内容と現実を適切に区別できるスキル,過去や未来にとらわれず,現在にフォーカスできるスキル,あるいは自分にとって価値があると位置づけられる行動に没頭することが緩衝要因として作用する可能性が伺えた。
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