2020 Fiscal Year Research-status Report
後期・超高齢期における認知機能低下の理解:75歳以上向け健常標準値の収集
Project/Area Number |
19K03313
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
河野 直子 大阪府立大学, 人間社会システム科学研究科, 准教授 (30583835)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | MCI / 後期高齢者 / 超高齢者 / 神経心理学的検査 / 加齢 |
Outline of Annual Research Achievements |
国内で使用されている認知症のスクリーニングおよび確定診断の参考のために活用される神経心理学的ツールのうち、後期高齢者に適用可能なものは限られる。正常な加齢変化と障害を区別するために必要な健常標準成績が得られていないことが主な原因である。そこで本研究では、認知症/軽度認知障害(MCI)の評価ツールについて75歳以上の後期高齢者の健常標準値を収集し、感覚障害など高齢者らしい状態像にも適した方法を検討することを目指す。 ただし新型コロナウイルス感染拡大を受けて高齢者から新たに面接形式でデータ収集を行うことが困難となったため、既存のデータベースを活用して検討を行った。68歳から89歳の地域在住高齢者182名の群において、主観的な聴力低下を訴えた者は22名、聞こえにくさの自覚はあるものの困るほどではないと回答した者は75名であった。見えにくさについては、主観的な視力低下を訴えた者が22名、見えにくさの自覚はあるものの困るほどではないと回答した者が101名含まれた。聞こえにくさ、見えにくさを訴える者では主観的なもの忘れを訴える割合も高かった。今年度は、直近に行った認知機能検査成績の解析を行い、軽度認知障害(MCI)検出のために使用される記憶、視空間認知、注意・実行機能の認知領域別の詳細検査について、感覚障害(見えにくさおよび聞こえにくさ)を訴える場合の得点偏倚を検証した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染拡大のため新規に高齢サンプルを収集することを断念し、既存のデータベース解析に切換えたことによる。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルス感染拡大を受けて高齢者から新たに面接形式でデータ収集を行う困難を念頭におき、引き続き既存のデータベースを活用して行うことができる分析を中心に行うこととする。軽度認知障害(MCI)検出のために使用される記憶、視空間認知、注意・実行機能の認知領域別の詳細検査について、65~74歳の前期高齢者群を比較対象とし、75~79歳、80歳~84歳、それ以上(可能な限り高年齢まで)の各年齢層を対象とした健常標準値の確認を行う。また新たなデータ取得が可能であれば、手の震えといった高齢者らしい状態像に適した検査法を検討することを目指す。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大のため予定していた研究打合せないし研究成果発表のための旅行が取り止めになったこと、また新規に高齢サンプルを収集することを断念し、既存のデータベース解析に切換えたことによる。他機関データベースアクセスのための研究打合せないし延期とした分も含め研究成果発表のための参加費・旅費や、データクリーニングに要する人件費等に加えて、可能であれば新たな調査を実施する経費に充てることを見込む。
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