2021 Fiscal Year Research-status Report
A clinical psychological study on professional identity development of graduate students
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19K03317
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
黄 正国 広島大学, 保健管理センター, 講師 (80735275)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 専門家アイデンティティ / 大学院生 / 学生相談 / 心理適応 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究3年目の本年度では、昨年の調査研究の結果を踏まえて、大学院生の専門家アイデンティティ形成の各段階(入門期、成熟期、独立期)における支援プログラムを考案・実施し、その効果を検討した。同意が得られた大学院生38名を介入群と統制群に無作為に割り当てて、介入群(19名)に対して、支援プログラム(心理教育:60分の集団実施×1回、情報提供:60分のグループワーク×1回、個別相談支援40分×3回)を行った。昨年度に作成した「大学院生の専門家アイデンティティ尺度」、「専門家アイデンティティ形成促進要因尺度」、「専門家アイデンティティ形成阻害要因尺度」を用いて、pre-test(プログラム実施前),post-test(プログラム実施直後),follow up test(1月後)を実施し、支援効果を検討した(follow up test終了後に、統制群の19名に対しても、同じプログラムを実施した)。 大学院生を対象に行った支援プログラムの直後は、専門家アイデンティティ形成促進要因が改善され、阻害要因尺度の得点が軽減されたことから、支援プログラムの効果がみられた。その効果は一か月後のfollow up testでも確認された。 また、大学院生の専門家アイデンティティ尺度の得点によって、個別相談支援の中で現れた話題が異なっていた。専門家アイデンティティ尺度の得点が高い学生は、研究成果が得られるために、体調管理、効率改善、コミュニケーション力の向上に関する相談が多かった。一方で、専門家アイデンティティ尺度の低い学生の場合、現在の適応状況の改善とともに、別のキャリアへの模索についての相談内容が多かった。今回の研究で、大学院生の専門家アイデンティティ形成促進についての支援の有効性が実証された。また、進路変更が必要な大学院生に多様なキャリアパスを提示した相談支援が必要であることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度は、新型コロナウイルス感染拡大により蔓延防止対策が実施されたことに影響され、4月から8月に予定された研究協力者の募集や支援プログラムの実施ができなかった。遅れて10月から2月に実施したが、まだ十分な人数を集めることができなかった。 また、同じく新型コロナウイルス感染拡大の影響で、補助者に依頼する予定のデータ入力作業も遅れているため、学会発表と論文の執筆も延期されている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,以下のように研究を推進する予定である。 1,継続的に大学院生を募って、考案した支援プログラム(心理教育,情報提供,相談支援)を行い,研究環境への適応と専門家アイデンティティ形成を促す効果を検討する。 2,今までの研究成果に踏まえて、学生相談機関やなどの学内の支援資源を動員し,大学院生の専門家アイデンティティ形成に困難がある大学院生への支援方法を検討していく。 3,上記の成果を関連学会などで発表し、専門誌に論文を投稿する予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの感染拡大により、本年度に予定した学会発表がキャンセルになった。そのため、出張旅費の予算執行が行えなかった。また、データ入力業務を依頼する予定の補助者も新型コロナウイルス感染拡大のため勤務できなかった。人件費の予算執行が行えなかった。 次年度の介入研究と学会発表を行う際に、データ入力の人件費と出張旅費として使用する予定である。
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Research Products
(6 results)