2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of cognitive behavioral therapy program for dental phobia patients with vomiting reflex
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19K03319
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Research Institution | Naruto University of Education |
Principal Investigator |
古川 洋和 鳴門教育大学, 大学院学校教育研究科, 講師 (60507672)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹内 武昭 東邦大学, 医学部, 准教授 (60453700)
中尾 睦宏 国際医療福祉大学, 医学部, 教授 (80282614)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 歯科恐怖症 / 認知行動療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】2020年度の研究目的は,2019年度の研究において抽出した注意制御の問題を改善するための介入プログラムについて,認容性を検討することであった。 【方法】まず,144名の大学生を対象とした質問紙調査(Modified Dental Anxiety Scale・歯科治療時の嘔吐反射の有無に関する項目)を実施し,嘔吐反射を伴う歯科恐怖症の傾向が強い対象者(9名)を選定した。そして,介入プログラムへの参加に同意の得られた7名(男性2名・女性5名)を対象として,従来の介入プロトコルであるエクスポージャーを実施する前にWells(1990)を参考に作成した注意訓練を実施する介入プログラム(全8セッション)への参加を求めた。なお,2020年度の研究においては,効果指標としてModified Dental Anxiety Scale日本語版(MDAS:古川・穂坂,2010)得点の変化量を用い,認容性の指標として介入プログラムの脱落率および介入プログラムの満足度(5件法)を用いた。 【結果】介入プログラム前後におけるMDAS(古川・穂坂,2010)の評定値について,Wilcoxonの符号化順位検定を行った結果,前後の評定値に有意差が検出された(P=0.02)。また,効果量とその95%信頼区間を算出した結果,高い効果が示された(r=0.61;95% CI=0.18-0.84)。認容性の指標であるドロップアウトは認められず,介入プログラムの満足度に関する平均評定値は4.0(SD=0.8)であった。 【結論】2020年度の研究成果として,新たに作成した嘔吐反射を伴う歯科恐怖症患者を対象とした介入プログラムは,高い効果と認容性が確認された。今後の研究においては,嘔吐反射の軽減を指標として含めた並行群間比較試験を実施する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度の研究目的は,2019年度の研究において抽出した注意制御の問題を改善するための介入プログラムについて,認容性を検討することであった。 2020年度は,嘔吐反射を伴う歯科恐怖症の傾向が強い対象者(9名)を選定し,介入プログラムへの参加に同意の得られた7名(男性2名・女性5名)を対象として,従来の介入プロトコルであるエクスポージャーを実施する前にWells(1990)を参考に作成した注意訓練を実施する介入プログラム(全8セッション)への参加を求めた。そして,介入プログラム前後におけるMDAS(古川・穂坂,2010)の評定値について,Wilcoxonの符号化順位検定を行った結果,前後の評定値に有意差が検出された(P=0.02)。また,効果量とその95%信頼区間を算出した結果,高い効果が示された(r=0.61;95% CI=0.18-0.84)。認容性の指標であるドロップアウトは認められず,介入プログラムの満足度に関する平均評定値は4.0(SD=0.8)であった。つまり,2020年度において作成した介入プログラムは高い効果と認容性が確認された。したがって,当初の目的である「注意制御の問題を改善するための介入プログラムの認容性評価」は達成され,研究計画はおおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は,①嘔吐反射を伴う歯科恐怖症患者における不安・恐怖の改善に有効な認知行動的要因の抽出(2019年度),②抽出した要因の獲得を目的としたプログラムの作成(2020年度),③プログラムの効果検討(2021年度),の3つの要素から構成される。 2021年度は,2020年度に作成したプログラムについて,ランダム化比較試験(従来の認知行動療法・ウェィティングリストによる対照群を設定した効果研究)を実施し,その効果を検討する。具体的には以下のとおりである。 対象者:嘔吐反射を伴う歯科恐怖症患者30名を対象とする。 介入要素:前年度に抽出した要因(注意制御)の獲得を要素に加えた認知行動療法プログラムを実施し,ランダム化比較試験によってその効果を検討する。その際,主要評価指標として,「Modified Dental Anxiety Scale日本語版(MDAS)」ならびに「歯科治療時における嘔吐反射の発現率(%)」を用いる。 倫理的配慮:研究の実施については,申請者の所属機関から承認を受けた後に実施する。また,すべての対象者には,当該研究の目的,意義,方法,研究対象者に生じる負担,予測される結果(リスクおよび利益),個人情報の保護について書面による十分な説明が行われ,承諾書への署名による同意が得られたうえで研究を実施する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症拡大の影響によって、移動を伴う打ち合わせ等のために計上していた旅費の支出額が予定より小額となったことから、次年度使用額が生じている。次年度については、移動を伴う打ち合わせ等を計画しているとともに、概ね順調に進捗している研究成果の英文校閲費および論文掲載料として使用予定である。
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Research Products
(1 results)