2019 Fiscal Year Research-status Report
直接観察に基づく親子間相互作用の評価方法の開発と臨床的応用
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19K03323
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Research Institution | Fukuyama City University |
Principal Investigator |
山口 正寛 福山市立大学, 教育学部, 准教授 (90583443)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
門田 昌子 川崎医療福祉大学, 医療福祉学部, 講師 (20549620)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 親子間相互作用 / アセスメント / 観察 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,直接観察に基づく親子間相互作用の評価方法の確立を目指し,その臨床的な応用可能性を探る。そのために,本研究では,親子間相互作用を直接測定する一つの方法であるDyadic Parent-Children Interaction Coding System (DPICS)を用い,次の4つについて明らかにすることを目指している。すなわち,①乳幼児とその親における遊び場面に見られる相互作用の特徴の抽出,②親と子それぞれの心理社会的変数とDPICS変数との関連,③一般群とハイリスク群のDPICSデータとの比較検討,④DPICSにおける臨床的問題の予測可能性と介入による変容可能性,である。 本年度の研究計画では,日本語版DPICSの基礎的データの収集とカテゴリーの再検討を計画していた。これに加えて,日本語版DPICSと心理社会的変数との関連を検討する計画であった。本年度の計画を実行する上で必要となる,DPICS研究用マニュアルを現在翻訳中である。また,DPICSのデータを信頼性と妥当性を維持しながらコーディングするためには,本研究の実験に関与せずに客観的にデータを妥当にコーディングすることができる研究協力者に依頼を求めている。 以上のことから,本年度においては新たな分析やデータ収集などは実施することができず,既存のデータについて分析を行い論文化を進めている。具体的には,一般の父母及びその子ども5組を対象にDPICSを実施し,父母間のDPICSの差異を検討した。その結果,DPICSカテゴリーに出現頻度には父母間に差は認められなかった。全体的なDPICSの傾向としては,親による質問と中立的な発言が多いことが明らかとなった。この研究結果から,父母間の相互作用は概ね類似しており,臨床現場でDPICSを用いる際には,父母間の基準を共有できることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究で使用するDPICSを適切にコーディングするためには,本法に関するトレーニングを受けていること,客観性を保つために実験に参加していないこと,が条件として必要となる。本年度はこれらの条件を満たすことができている研究協力者を得ることができなかったため,新たなデータ収集には至らなかった。それに加えて,共同研究者及び研究代表者の異動や昨今の新型コロナウィルスの流行により人への実験調査が困難な状況にあることも遅延の理由である。
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Strategy for Future Research Activity |
研究代表者の異動に伴い,実験可能な環境を整える予定である。また,DPICSをコーディング可能な研究者に協力を求めていく。また,今後の新型コロナウィルスによる感染拡大状況にもよるが,一般家庭を対象にした調査が困難な場合は,研究代表者の所属大学附属園などにも協力を求め,保育者と子どもの相互作用を検討する代替措置も計画している。
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Causes of Carryover |
研究を進めていく上で必要に応じて研究費を執行したため当初の見込額と執行額は異なっている。また,新たなデータ収集を実施することができなかったことにくわえ,新型コロナウィルスの影響により予定していた海外出張等がキャンセルとなった。そのために研究遂行が遅延しているものの,計画については現時点で変更はなく,次年度以降に未使用分の予算を執行する予定にしている。
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