2021 Fiscal Year Research-status Report
直接観察に基づく親子間相互作用の評価方法の開発と臨床的応用
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19K03323
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
山口 正寛 大阪教育大学, 教育学部, 准教授 (90583443)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
門田 昌子 川崎医療福祉大学, 医療福祉学部, 講師 (20549620)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 親子間相互作用 / アセスメント / 観察 |
Outline of Annual Research Achievements |
当初予定していた本年度の研究計画では,本研究で使用する親子対相互交流評価システム(Dyadic Parent-Children Interaction Coding System; DPICS)における一般群とハイリスク群を比較検討する予定であった。しかしながら,調査実施の遅延のためすでに収集しているDPICSデータの信頼性を中心に検討を行った。具体的な研究成果は以下の通りである。 分析の対象は2歳から6歳の子どもとその母親の計8組のDPICSであり,DPICSは1ヶ月の間隔をあけて3回実施した。臨床家24名の協力を得て,録画されたDPICSのコーディングを独立して行った。その結果,評定者間の単純一致率の平均値は82.98%,級内相関係数は95~1.00であり,評定者間の信頼性は十分に高いものと判断した。 DPICSに含まれる全13カテゴリーにオリジナルで作成したカテゴリー6つを加えた計19カテゴリーの出現頻度の特徴について検討した。その結果,すべての場面(子ども主導場面,親主導場面,片付け)において,中立的会話と質問が最も多く出現していた。また,親主導場面と片付け場面では親の命令が中立的会話と質問に次いで多く出現していたが,直接的な命令よりも間接的な命令の方が多く出現していた。さらに,DPICSの時間的安定性を検討するため,第1回目のDPICSから第3回目のDPICSの各カテゴリーに対する級内相関係数を算出した。その結果,場面によって多少の相違はあるものの,場面内において出現する発言・行動カテゴリーは概ね一貫していることが示された。すなわち,介入やトレーニングを受けていない状態であれば,親子対相互作用は一貫した傾向を一定期間維持するということを示唆していると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初の研究計画では,2021年度はDPICSにおける一般群とハイリスク群を比較検討する予定であった。しかしながら,これらを調査していくために必要な一般群のデータ分析が行うことができていなかったため,本年度は計画を修正して,すでにデータ収集が完了している一部のデータについて分析を行った。 また,24名のコーダーの連絡調整やコーディング作業に多くの時間を費やしたことも遅延の理由である。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画を修正し,一般群のデータを使用してさらにDPICSの特徴を検討していく。 具体的には,父親と母親のDPICSの相違や,DPCS各カテゴリーの出現頻度と親子の心理社会的変数との関連を検討していく。すでに収集しているデータを用いて,本年度と同様に複数のコーダーの協力を得てコーディング作業を行っていく。
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Causes of Carryover |
前年度分の繰越金が多く残っていたことに加え,本年度においてもコロナの影響により十分な研究活動や学会参加が叶わなかったことから次年度使用額が生じている。次年度においては,状況を見ながら学会参加や英文校閲等を中心に支出する予定である。また,実験の実施とデータ収集に必要な器具等の購入に充てる。
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