2022 Fiscal Year Research-status Report
直接観察に基づく親子間相互作用の評価方法の開発と臨床的応用
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19K03323
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
山口 正寛 大阪教育大学, 教育学部, 准教授 (90583443)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
門田 昌子 川崎医療福祉大学, 医療福祉学部, 講師 (20549620)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 親子間相互作用 / アセスメント / 観察 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度においては,前年度にコーディングを行った親子対相互交流評価システム(Dyadic Parent-Children Interaction Coding System; DPICS)についてDPICS中の母と子に特徴的な相互作用パターンを検討するために逐次分析を行った。 その結果,DPICSにおける子ども主導の遊び場面では,母親が否定的会話をすることで子どもが直接的な指示に従わないという否定的な相互作用パターンが観察された。また,母親による間接的命令は子どもの行動に関わらず繰り返されやすいことが示唆された。子ども主導の遊び場面では親がコントロールを取り戻そうとするために否定的会話をしやすくなる可能性が考えられた。 親主導の遊び場面では,母親が子どもの行動を説明した後に子どもに命令し,子どもがそれに応じるという相互作用パターンが見られた。子どもの行動を親が説明することによって子どもは注目や関心を得たと感じ,結果的に親の指示に応じやすくなるという肯定的な相互作用を生む効果を持っているのかもしれない。また,親が子どもの言葉を繰り返し,その後に一般的賞賛や具体的賞賛が生じやすいことも示された。これらの結果は肯定的なコミュニケーションは連鎖的に生じやすいことを示唆している。 お片付け場面においては親による効果的でない命令が繰り返され,その後に質問や否定的な会話が生じるという否定的な相互作用パターンが示された。お片付け場面は子どもが単独でお片付けを求める場面であり,親は時間的な切迫感や子どもを指示に従わせなければならないという焦りなどが影響したと考えられる。 本分析のサンプル数は少なく,母子のみを対象としたデータであることや,観察から得られた結果のみを分析対象としていることから,研究期間を延長し,父子データの分析と父母の心理的変数も合わせてDPICSとの関連を検討していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究開始時期とコロナの流行期間が重なっていたことに加え,同時期に研究機関の変更があったため,研究の進捗が遅れている。また,本研究で使用するDPICSのコーディングを行うために多くの臨床家の協力を得ているが,協力者の確保や連絡調整に加え,協力者によるコーディング作業は一定ではないためデータ収集に多くの時間を費やしていることが遅延の理由である。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画を修正し,一般の親子データを使用してDPICSの特徴を検討していく。 具体的には,父親と子どものDPICSについてコーディングがほぼ完了していることから,このデータを使用して父子と母子におけるDPICSの違いを検討する。また,親と子の心理社会的変数も同時に測定しているため,これらのデータとDPICSとの関連を検討する。さらに,国外のDPICSデータと比較検討し,日本の親子に特徴的な相互作用パターンを検討する。
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Causes of Carryover |
研究計画が遅延しているため,研究期間を延長している。次年度も研究を実施するため,研究に必要な物品や学会に参加するための参加費や旅費に使用する予定である。
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Research Products
(1 results)