2021 Fiscal Year Research-status Report
感情教育介入による情動焦点型コーピングの変化に及ぼすインプリシット感情の影響
Project/Area Number |
19K03341
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Research Institution | Naruto University of Education |
Principal Investigator |
内田 香奈子 鳴門教育大学, 大学院学校教育研究科, 准教授 (70580835)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山崎 勝之 鳴門教育大学, 大学院学校教育研究科, 特命教授 (50191250)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 教育プログラム開発 / 潜在的感情 / 感情教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
感情教育プログラム「感情の理解と対処の育成」はこれまで複数の小中学校で実施され、一定の科学的評価をあげてきた。しかし、これまでの教育効果検証は、本プログラムが育成する情動焦点型コーピング(emotion-focused coping)の対象となるエクスプリシット感情(Explicit Affect: EA)の意識下にあるインプリシット感情(Implicit Affect: IA)の動きを捉えていない欠点を有していた。また、プログラムの内容についてもより現場が実施しやすい方向への修正が求められていた。そこで、一連の研究ではIAの測定が可能な尺度の標準化作業(研究1)、プログラムの再作成(研究2)、プログラムの再改定(研究3)、そしてEAとIAによるプログラムの効果評価測定(研究4)とフォローアップも含めた検討(研究5)を行う予定とした。 今年度は新型コロナウイルスの影響で遅れた各研究を進めるため、尺度の標準化(研究1)とEAとIAによるプログラムの効果評価測定(研究4)を同時に実施した。具体的には小学校6年生2クラスを対象に感情教育プログラムを実施し、前後でEAとIA尺度を実施した。教育前後の数値を比較した結果、EAとIAの各正感情において統計的に有意な上昇がみられ、その効果を確認した。また、EAの負感情においても有意な傾向ではあったが、その低下傾向を確認している。今後はより詳細な検討や標準化の検討を進めたい。また、学校現場からのフィードバックをもとに、プログラムの再改定作業(研究3)を進めた。その結果、より質の高いプログラム内容へと修正することができた。また、現場で実施しやすい心理教育のあり方をテーマとした複数のシンポジウムにおいて、話題提供や指定討論を行い、研究者や現場の先生方とのこの種のプログラムのあり方について意見交換を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウイルスの影響を受け、それぞれの予定が後ろ倒しとなっていたため、1年延長の申請を行った。よって「遅れている」と判断せざるを得ない状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は研究1と4の詳細な検討を行うとともに、学校現場でのプログラムの実施(研究5)を行い、プログラムの完成を目指す。また、これまでの研究成果を学会や論文などで公表できるよう、とりまとめを行う。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響により海外(現地)での発表ができず、旅費を中心に、すべての経費について予定通り執行できなかった。今年度も学校での実施を予定しているため、物品費として使用する。また、教育効果評価の実施前後、資料整理やデータ入力作業を依頼するため、謝金費としても使用する予定である。
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