2020 Fiscal Year Research-status Report
パワーハラスメントの生起要因尺度の開発に関する臨床心理学的研究
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19K03342
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Research Institution | Hiroshima International University |
Principal Investigator |
佐竹 圭介 広島国際大学, 心理科学研究科, 講師 (20791429)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下田 芳幸 佐賀大学, 学校教育学研究科, 准教授 (30510367)
金子 周平 九州大学, 人間環境学研究院, 准教授 (10529431)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | パワーハラスメント / 定義 / 質的研究 / 計量テキスト分析 / いじめ / 文献研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
パワーハラスメント(PH)に関する話題が持ち込まれることは臨床心理面接において珍しくないが,実際の事例が扱いにくいことや定義の曖昧さ等の理由から臨床心理学の分野では実証的研究は少ない。本研究では,PHの定義に関して,これまで実証的研究の蓄積があるいじめの概念の定義と比較することにより,PHという現象の構造を明確にすることを目的とした。検討方法は,日本語で書かれた文献および新聞記事を対象とし,分析には計量テキスト分析の対応分析を用いた。その結果,PHの定義においては,力関係の不均衡とその不当な行使,人格や尊厳の侵害,環境の悪化の4点が重要な要素であり,いじめの定義において重視される意図性・反復性・加害者の複数性・継続性という要素は,PHの定義においては重視されないことが明らかになった。これらの結果について,一般的に用いられる定義との異同について考察した。さらに,心理職がPHの定義を理解することの臨床心理面接における意義について論じた。 上記の研究結果をもとに,パワーハラスメント生起要因に関する調査研究を実施する予定であったが,県を跨ぐ移動が困難であったため,インタビュー調査を実施することができず,研究計画を変更した。研究分担者との検討の結果,調査会社のリソースを用いて,一般労働者を対象としたパワーハラスメントに関する意識を調査した上で,それらの質的データを分析することにより,パワーハラスメント生起要因に関する尺度を構成することとした。これらの研究に関しては,所属機関の研究倫理審査を経た上で,2021年度早期に実施する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
予定していた調査研究において,インタビュー調査が実施できない状況となったため,研究計画の変更が必要となったが,物理的な環境および代表者の所属移動に伴う事務手続き等の関係から,研究再開に時間を要したため,研究打ち合わせ等が実施できない状況となり,研究計画の再構成が大幅に遅れたため。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度早期に調査研究を実施し,尺度構成および要因分析を実施する。当初予定していた実際に実施するハラスメント研修を用いた研修効果に関する研究については,対面によるハラスメント研修が行いにくい状況が継続しているため,本研究では実施せず,構成された尺度の内容を精査した上で,新たな研究計画を再構成する計画である。
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Causes of Carryover |
当初計画していた移動を伴うインタビュー調査が実施できず,研究計画の変更が必要となり,実質的な研究が進行できなかったため。
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