2020 Fiscal Year Research-status Report
悪質商法による大学生の詐欺被害を防ぐためのスマートフォンゲームアプリの開発と評価
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19K03343
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
宮野 秀市 宮崎大学, 安全衛生保健センター, 講師 (00339681)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 悪質商法 / シリアスゲーム / 消費者教育 / 教育工学 |
Outline of Annual Research Achievements |
大学生に起こりうる問題の一つに,違法または不当な手段で商取引をすることで消費者に被害をもたらす悪質商法の問題がある。大学生を対象とした調査研究によると,悪質商法や詐欺に対する,友人や親兄弟,テレビや新聞やパンフレット,およびインターネットなどからの警告が金銭的な被害を防止するために有効であることが示されている。したがって,悪質商法の手口を紹介して注意を促す学習ツールには被害を防止する効果があることが期待される。しかしながら,学習ツールの内容が優れていても,ユーザーが興味を持ち実際に手に取ることがなければ効果が発揮されない。そこで,学習ツールの媒体として,ゲームプレイの際の機器として使われることが多くなったスマートフォンに着眼した。本研究の目的は,悪質商法による被害を未然に防ぐことを目的とした大学生のための学習ツールをスマートフォン用のゲームアプリとして開発し,その効果を評価することである。 2020年度は,大学生が悪質商法から身を守るために必要な知識を学ぶための学習ツールとしてのスマートフォン用ゲームアプリの暫定版を開発した。さらに,本研究の予備調査として実施済みであった調査をデータ解析した。すなわち,悪質商法から身を守るための知識を学ぶ手段として,新入生オリエンテーション,パンフレット,市販本,スマートフォンゲームが大学生にどのように評価されるかを明らかにするために,四つの手段それぞれについてどのような印象を持つかを大学生が自由記述したテキストデータに対して計量テキスト分析を行った。その結果,スマートフォンでシリアスゲームを提供する際には,学習ツールとしての側面だけでなくゲームとしての面白さをアピールすることや,ブラウザアプリとして提供するなどの工夫で,大学生の利用率が高まることが推察された。さらに,この結果を学会で口頭発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2020年度の前期は,大学生が悪質商法から身を守るための学習ツールとしてのスマートフォンアプリの暫定版を作成した。後期は,暫定版アプリの使用感などを検証するために調査(調査1)を行う計画であった。すなわち,30名程度の大学生を対象にアプリを利用してもらい,Mitchell & Gordon(2007)の質問項目を用い,「わかりやすさ」,「操作のしやすさ」,「役にたちそうか」などを評価する予定になっていた。さらに,その調査結果をもとに,アプリの完成版に向けて暫定版の改定に着手する計画であった。 しかしながら,全国的な新型コロナウイルスの蔓延により,その感染防止対策として学生の大学構内への立ち入りや講義にたいしての制限措置等が取られたことによって,調査の告知や対面による調査を行う機会が実質的に失われ,調査1を実施することができなかった。したがって,開発中のアプリの暫定版を調査1の結果をもとに改良することもできなかった。 そこで,本研究の予備調査としてすでに実施済みであった,悪質商法から身を守るための学習ツールとしてのスマートフォンアプリにたいする大学生の印象評価調査で得られた膨大なテキストデータを詳細に計量テキスト分析し,その結果をもとにアプリ開発を行った。しかしながら,大学生に利用されやすく学習効果が高いアプリを開発するためには,プレイ経験の伴わない印象評価だけではなく,実際にプレイしたうえでの評価が必要であると考えられる。したがって,この点においては本研究は当初の計画から遅れていると言わざるをえない。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は,開発中のゲームアプリを完成させ,アプリの利用によって悪質商法から身を守るために必要な知識が増すかどうかを明らかにするために実験を行い(実験1),さらに,開発したゲームアプリが大学生に利用したいと思われるかどうか,およびどのような印象を持たれるのかを明らかにするために,悪質商法の被害を予防する目的で作成されたWEBページやパンフレットなどの既存のツールとの比較調査を行う(調査2)予定である。 この計画に沿って研究を進めていくが,前述したようにコロナウイルスの蔓延の問題があり,その程度によって学生の大学構内への立ち入りや講義に制限措置等がとられることにより,調査や実験の実施に支障をきたす可能性も考えられる。また,前述したように,2020年度に実施予定であった調査1も完了していない状態である。したがって,本研究の最終年度である2021年度での研究完遂を目指しつつ,状況に応じて補助事業期間の延長を申請する予定である。
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Causes of Carryover |
全国的な新型コロナウイルスの蔓延により,ほとんどすべての学会がWEB上での学会開催となった。そのため,予定していた旅費の支出がなく研究費が余り次年度使用額が発生した。2021年度に新型コロナウイルスの流行が治れば,旅費として使用する予定である。新型コロナウイルスの流行が治らなかった場合には,研究の遂行に必要なパソコン機材や計量テキスト分析に使用するソフトウェアなどの購入にあてる予定である。
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Research Products
(1 results)