2022 Fiscal Year Research-status Report
Medium-term impact of unusual damage situation on children and families in Fukushima
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19K03345
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Research Institution | Iryo Sosei University |
Principal Investigator |
山本 佳子 医療創生大学, 心理学部, 教授 (90336462)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大島 典子 医療創生大学, 教養学部, 准教授 (80382802)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 東日本大震災 / 被災 / 子ども / 親子関係 |
Outline of Annual Research Achievements |
東日本大震災で震災・津波・原発事故による未曽有の被害を受けたが、福島県で育つ子どもたちにとって、特に、原発事故の影響は大きいと考えられる。本研究の目的は、こうした特異な被災状況が子どもの成長に及ぼす影響を明らかにすることである。特に、対象者が、子どもなりにどのように震災やその後の災害を捉えていたか、そのことについて、周囲の人とのどのような語らいで消化することができたのか、それらがどう彼らの人生観に影響しているのかに注目した。 40 名のインタビューを施行した。また、震災の影響についての概略や精神的健康度・リジリエンスについてアンケート(質問紙)も199 名のデータを収集した。 質問紙調査結果から見ると、避難経験があるものは、96 名(53%)で、家屋の全壊・流出などの住めない被害似合った人は 6 名であったが、被災の程度の大きさが現在のメンタルヘルス(K6)や資質的リジリエンスの社交性の部分に有意に影響していた。また、親との関係性について、当時を振り返り「甘えられなかった」「言いたいことも言えなかった」「親を気遣っていた」と回答したものは、現在のメンタルヘルスがやや悪く、問題解決思考や自己理解などの獲得的リジリエンスの得点が有意に低かった。逆に「親とたくさん話をした」「頼りになった」「気遣ってもらった」と回答したものは資質的リジリエンスの社交性の得点が高かった。放射線の影響に小松ついては、過去も現在も気にしていない人が77 名(43%)で、現在は167 名(92%)が気にしていない。そして気にしていなかった人の方が震災経験をプラスに考えていた。 インタビュー調査については、一部の分析ではあるが、研究協力者の小松(2023)が、「心的外傷後成長:PTG」に至るプロセスには、環境変化を経ての自分自身への気付きや、大人の行動が認められることなどを認めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
コロナ禍で、外部の人へのインタビュー調査が困難であったことから、学内の学生の中から被験者を募り、調査を行ったが、研究者が授業担当でもあり、利益相反の問題が生じないように、時期や範囲を限定したため、調査に時間がかかった。
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Strategy for Future Research Activity |
調査は修了とし、今後はその分析に入る。 また、分析結果を学会などでの発表し、論文化していきたい。
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Causes of Carryover |
今年度は、今までの研究データの分析を進め、トラウマティック・ストレス学会を始め諸学会で、研究成果の発表をする予定である。そのための分析用システムや発表準備のための経費に充てたい。
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