2019 Fiscal Year Research-status Report
刑事事件の情状鑑定における多職種協働チームの将来的展望
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19K03350
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Research Institution | Komazawa Women's University |
Principal Investigator |
須藤 明 駒沢女子大学, 人文学部, 教授 (20584238)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
戸井 宏紀 東洋大学, ライフデザイン学部, 助教 (00780397)
岡本 吉生 日本女子大学, 家政学部, 教授 (20315716)
丸山 泰弘 立正大学, 法学部, 准教授 (60586189)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 情状鑑定 / 更生支援計画 / 多職種協働 |
Outline of Annual Research Achievements |
定期的な研究会を重ねて鑑定事例の検討を行ったほか,アメリカで在外研究を行っている分担研究者の丸山から適宜アメリカの最新情報を報告してもらった。国内外の学会活動にも積極的に参加し,研究発表やシンポジウムを通じて,刑事司法にかかわる弁護士,社会福祉士等との討議を重ねてきた。以下,項目別に記す。 1 情状鑑定事例の検討と国内外での学会活動 2019年度中に研究者が行った情状鑑定は2事例,その他弁護士へのコンサルテーションが数例あった。この2事例について多職種協働の観点から検討したほか,家庭問題情報センター(FPIC)が主催する鑑定研究会にも計4回参加して,須藤と岡本が事例提供を行った。また,研究員各々が積極的な学会活動を行ったが,特筆すべき活動は二つある。まず,6月12日にアメリカ・ラスベガス市で開催された全米司法ソーシャルワーク協議会(NOFSW)の年次大会において,須藤と戸井がそれぞれ心理学とソーシャルワークの立場から研究発表を行った。また,8月25日の日本司法福祉学会第20回大会において,シンポジウム「刑事被告人への入口支援―心理職と福祉職の協働連携に向けて-」を企画し,弁護士,心理専門職,福祉専門職のシンポジストによる多職種協働をテーマに討議を行った。このシンポジウム記録は,司法福祉学研究第20号に掲載される予定である。 2 米国司法事情調査 9月8日~9月15日,米国シアトル市キング郡を訪問し,少年事件及び若年成人事件における社会的支援の実情を調査した。裁判所,検察官,弁護士,研究者及び民間NPO団体が様々な局面で協働して社会内処遇のシステム作りに取り組んでいることが把握でき,また,ワシントン大学の研究者とも有意義な討議をすることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
鑑定実施事例は2件と少なかったが,本年度に入ってすでに1件受任していること,過去の蓄積も含めると相当数あることから,鑑定事例の質的分析は問題なく進められる。また,米国シアトルの司法事情調査や国内外の学会活動を通じて,刑事司法における多職種協働の必要性や有効性を認識できており,研究の進捗としては順調と考えている。 新型コロナ問題で在京弁護士会との情報交換を進めることができなかったが,2020年度中の取組として計画しており,特に問題はない。
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Strategy for Future Research Activity |
当初,2020年7月15~18日にカナダ・カルガリー市で開催されるThe International Federation of Social Workersにて須藤が研究発表する予定となっていたが,新型コロナウイルスの影響でWEB開催となった。その他,NOFSWなど海外の学会に参加するなどして,引き続き国際交流を進めていく予定であったが,新型コロナの世界的感染状況に鑑みると,本年度中の海外渡航は難しいと考え,国内での研究活動を柱としていく。 刑事被告人に対する心理専門職や福祉専門職などの多職種協働事例はまだまだ少ない状況であり,こうした実践例を積み重ねていくとともに,過去の情状鑑定や更生支援計画書を詳細に検討していきたい。また,在京弁護士会との意見交換会も積極的に進めたいと考えている。こうした取り組みによって,可能であれば多職種協働のモデル事例を数種類のパターン化した形で提案できるようにしたい。 なお,研究メンバーによる会合は社会状況を踏まえ,適宜オンライン会議を活用するなど,柔軟に対応していく。
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Causes of Carryover |
研究会に講師を招聘する予定であったが,都合が合わなかったことから次年度に繰り越すこととした。
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Research Products
(26 results)