2021 Fiscal Year Annual Research Report
心理的暴力(束縛行為)の被害の認識を阻害する要因の解明
Project/Area Number |
19K03352
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Research Institution | Shigakkan University |
Principal Investigator |
笹竹 英穂 至学館大学, 健康科学部, 教授 (00319229)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | デートDV / 心理的暴力 / 束縛 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究1 デートDV(束縛)の被害の認識を阻害するひとつの原因として,そもそもデートDV(束縛)の判断が専門家と若者では異なっているのではないかという疑問が残る。そこでデートDV(束縛)について専門家と若者の認識の違いを明らかにすることを目的とした。総理府の作成したデートDV防止パンフレットを学生に閲覧させ,どの点が若者の認識と異なるかを自由記述式で回答を求めた。その結果,パンフレットに記載されている「どちらの気持が優先されているかな」という記述に対して,学生が問題点として指摘したことは,「加害者は自分の気持ちを優先している意識はない。どちらかの気持が無視されていないか振り返ってみようという表現の方が納得しやすい。」等と回答がなされた。この研究は論文にまとめられ,至学館大学教育紀要に掲載された。 研究2 デートDV(束縛)の被害の認識を阻害するひとつの原因として,若者のデートDVであるかの判断に,束縛行為そのものだけでなく,その行為の行われた文脈が大きな影響を与えていることが指摘されている。そこでデートDVの判断に対して文脈の影響を明らかにすることにした。「スマートフォンから異性のアドレスを削除して」という束縛に対して,様々な文脈を付与して,それがデートDV(束縛)に該当するかどうかの回答を求めることにした。たとえば「Aは,Bが浮気したことを否定しているが,異性の部屋を一人で訪れていることから,スマホからすべての異性のアドレスを削除することを強要した。」という浮気の疑いの文脈などを提示し,これらがデートDV(束縛)に該当するか否かを回答させた。その結果,文脈にまったく影響を受けないでデートDV(束縛)を判断する者もいれば,これらの文脈に影響を受ける者が見受けられた。
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