2021 Fiscal Year Research-status Report
高齢者が住み慣れた地域社会で暮らし続けるための生活機能評価法の開発
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19K03364
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Geriatric Hospital and Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
佐久間 尚子 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (70152163)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 高齢者 / 住民調査 / 認知機能 / 生活機能 / 自己評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、延期されていた大規模調査が実施され、本研究のテーマである「高齢者の生活機能評価法」の基礎データを収集した。本研究の対象地区の65歳以上高齢者と研究所近隣の70歳以上高齢者の約1万人を対象に12月に郵送調査を実施した。約4000名から自記式アンケート調査票を回収した。この郵送調査の参加者のうち、約1100名が研究所内の会場調査に参加した。会場調査では、新型コロナウィルス感染症の拡大防止に配慮しながら、対面式の面接検査を2月から3月に実施した。生活機能に関しては、会場調査の事前アンケートとして、「起床から就寝まで」の基本的な生活行動を33項目選定し、その行動頻度を5段階で評定してもらった。会場調査の当日、このアンケートを持参してもらい、面接にて記載事項を確認した。現在、データを電子化し、データセットを作成中である。 既存資料の分析に関しては、(1)高齢者の標準的な認知機能検査(MMSE-J)と(2)注意・実行機能の検査(TMT)を取りあげた。(1)の認知機能検査(MMSE-J)に関しては、昨年度までに、約2000名の得点の分布や関連要因を分析し、英文誌に投稿していたが、今年度採択された。(2)注意・実行機能の検査(TMT)に関しては、最初に、完遂率やエラーの有無、遂行速度の年齢、性別、教育年数、および認知機能検査(MMSE-J)得点との関連を調べ、日本の都市部在住高齢者の標準資料を作成した。その成果を英文誌に投稿した。TMTには難易度の異なるA版(数字を順に結ぶ)とB版(数字とひらがなを交互に順に結ぶ)があり、今回の遂行率は、A版が99%で、B版が83%だった。しかも、B版は完遂者の約半数にエラーが出現した。B版は注意・実行機能を鋭敏にとらえる可能性があり、このB版の完遂率とエラーの有無と、日常生活機能との関連について、分析している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は、研究所主体の大規模調査がようやく実施され、研究目的の主要データが収集された。しかし、その時期は、郵送調査が12月、会場調査が年度末の2月から3月となり、年度内のデータ分析はかなわなかった。研究年度を一年延長し、分析を進め、研究成果を発表する。
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Strategy for Future Research Activity |
既存資料の論文化を引き続き進めるとともに、今年度収集された主要データを分析し、学会発表および論文発表を目指す。
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Causes of Carryover |
今年度、実施された大規模調査は、研究所の費用で実施された。このため、調査費用として予定していた人件費・謝金を使用しなかった。また、内外の学術会議も引き続きweb開催となり、旅費の支出もなかった。これらの余剰金は、できるだけ論文化を進め、その英文校閲料や、英文誌の投稿費用、オープンアクセス料等に充当する予定である。なお、使用していたパソコンが年度末に破損したため、パソコンの新規購入を予定している。
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Research Products
(3 results)