2021 Fiscal Year Research-status Report
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19K03369
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
菅 理江 埼玉医科大学, 医学部, 准教授 (10342685)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 刻印付け / 記憶の固定化 / 初期学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
刻印付けは臨界期を持つ初期学習のひとつであり、臨界期内であれば学習が起きてから短い期間に神経可塑性を伴う脳内変化が起こり、学習の結果を行動として確認することができる。この現象をモデルとして、記憶の固定化のプロセスを検討している。孵化直後のヒヨコを用いた実験では、ヒヨコは提示された人工的な刺激の特徴を記憶し、刺激への排他的な社会的偏好を形成する。この学習は行動として、提示された刺激へ近寄ろうとする走行距離として計測され、刻印付けされた動物は新奇刺激に対する物よりも相対的に長い距離を走る。学習後の偏好は記憶の固定化が起こるまでは安定的ではなく、第2の刻印付け対象を作ることもある。学習した刺激特徴に反応する神経細胞の数も直線的に増加するわけではなく、学習後8-10時間に起こると考えられる固定化プロセス(この期間の睡眠を含む)の辺りでいったん減少し、固定化後に大きく増加する。これまでの実験でも臨界期中の第2の刺激の挿入は第1の刺激へのアプローチを抑制するが、固定化後には第1の刺激への強い偏好が確認出来る。 本研究ではこの固定化プロセスの間の新奇刺激提示による偏好への影響とそれに伴う脳の可塑性(学習獲得に必須な部位であるInter mediate and medial pallium(IMM))を検討している。今年度は、昨年度に引続き新しい実験装置での行動データの集積、脳サンプルの検討を行ってきた。また、実験箱の温度調整により睡眠の状態が異なるため、そのパラメータを導入した形で検討を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
昨年度に引続きCovid-19の感染拡大の影響を受け、教育業務のオンライン化に伴う教育関連業務の増加により、全体に研究の進捗は遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度、遅れつつも行動データ・脳サンプルの集積が進んだので、これをまとめていく。結果のばらつきが大きいため、学習強度が揃いやすい長い暴露時間での実験を中心に検討する予定。
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Causes of Carryover |
Covid-19の感染拡大に伴い、海外共同研究者との打ち合わせ・海外学会への参加が見送られたため、旅費・大会参加費等の支出がなかった。また行動実験装置の一部の増設を予定していたが、依頼先の企業が制作を中止してしまったため、購入にいたらなかった。現在新たな依頼先を探しており、制作費として使用する予定である。実験の遅れに伴い、これから行われる実験用抗体・キット類の購入にも使用される。
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