2022 Fiscal Year Research-status Report
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19K03369
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
菅 理江 埼玉医科大学, 医学部, 准教授 (10342685)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 刻印付け / 記憶の固定化 / 初期学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒヨコの刻印付けをモデルとして、記憶の固定化のプロセスを検討する研究を行っている。刻印付けは臨界期を持つ初期学習で、孵化後に遭遇した物体を追尾し、排他的にその物体への社会的偏好を形成する。実験室場面ではヒヨコは視覚的に隔離された状況で孵化し、人工的な刺激に暴露される。ヒヨコのその刺激に向かって走る距離を学習強度として、学習と神経可塑性の関係を検討している。学習後の偏好は安定的でなく、学習後8-10時間後に起こると考えられる固定化のプロセスが起こるまでは第2の刻印付け対象を作ることもできる(第2の刺激導入は最初の刺激へのアプローチを抑制する)。 これまでの実験で、固定化の完了前の新規刺激導入による偏好への影響とそれにともなう脳の可塑性を、学習獲得に必須の脳部位であるIner mediate and medial pallium (IMM)を中心に検討してきた。これまでの実験での新規刺激の固定化前の導入は、刻印付け(第1刺激)実施後のデータに比べてデータのばらつきが大きく、既知のデータとの整合性や全体像の把握に苦労してきたが、今年度は、孵化後24-36時間で最初の刻印付けを行い、固定化が起こった翌朝(最初の刻印付け訓練から24時間後)に第2の刺激を提示する形でタイミングを固定したところ、実験動物の行動が安定した。この形式での脳サンプルを採取したので、まずこの形式での免疫組織学的解析を確立し、これまでに取った固定化前に第2刺激を提示するデータと比較することで固定化にまつわる可塑性を再検討したいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
Covid-19に関連した教育業務の拡大はある程度おさまり、研究活動が少しずつもとに戻ってきている。しかしながら、いくつかの並行して行っている研究との兼ね合いもあり、思ったようには進んでいない。22年度は実験の実施と脳サンプルの採取を進めたため、今後はデータの解析を進めていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度での行動実験の結果の安定化、プロトコルの確定ができたので、これを進めていきたい。またこれまでの不安定だった中間時期のデータを今回の結果をもとに再検討したい。
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Causes of Carryover |
検討していた特注実験装置増設の計画が依頼の段階でトラブルがあり、依頼先の再検討を行っていたため、年度内の納品ができなかった。次年度は早い時期に解決したい。また、Covid-19感染拡大により海外学会への参加・海外共同研究者との打ち合わせが見送られたので、次年度の旅費・参加費に使用したいと考えている。
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