2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19K03369
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
菅 理江 埼玉医科大学, 医学部, 准教授 (10342685)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 刻印付け / 記憶 / 固定化 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒヨコの刻印付けを用いて「初期学習における固定化のメカニズムを解明する」研究を進めてきた。誕生直後の初期学習である刻印付けは、誕生後の早い時期に特定の物体に対して偏好をしめし、追従する現象であり、臨界期を持つ。臨界期の間、偏好が確立するまでには一定の時間が必要であり、偏好は安定的ではない。固定化に関するパラメータとして学習からの時間(6h-8h)、睡眠、学習強度が検討されており、本研究でもその点に着目して検討を行った。学習に関連する脳の可塑性は、刻印付けの獲得と維持に必須の脳部位である、intermediate and medial mesopallium (IMM)における即初期遺伝子の発現、特に刻印付け直後に学習依存的に発現するc-fosのタンパク陽性細胞の数で検討した。 行動実験の再現性のために、3DCGを用いた動画を刺激として導入した。液晶スクリーン上に提示される刺激が、3次元の物体を回転させる従来の刺激と変わらず刻印付けが可能であることが確認できた。学習時間をパラメータとした学習強度の検討は、短時間の方が結果のばらつきが大きいため、比較的安定した30分の学習時間を基準としてIMMの変化を検討した。実験開始後6時間付近を検討したが、睡眠の妨害による発現の変化に比較してばらつきが大きく、固定化プロセスが起こるタイミングの個体差が大きいことが予想された。固定化の前後に起こる変化を明確にするため、①刻印付け後24時間の個体に同じ刺激を再提示する個体と、②初めて刻印付けされた個体、③①と同じタイミングで刻印付けされたが、そのまま暗室で隔離されていた個体を比較した。固定化後の同一刺激の提示に対してもIMMにおいて即初期遺伝子の発現が見られるが、経験のないものと比較して発現のパターンが左右で異なり、固定化によってIMMが同じ刺激に対して異なるメカニズムで反応することが分かった。
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