2020 Fiscal Year Research-status Report
介護行動の行動分析に基づくユマニチュード評価システムの開発
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19K03378
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
高橋 雅治 旭川医科大学, 医学部, 教授 (80183060)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池上 将永 旭川医科大学, 医学部, 准教授 (20322919)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | オペラント条件づけ / ユマニチュード / 介護 |
Outline of Annual Research Achievements |
ユマニチュードの介護技法を、オペラント反応として分解することを目的として,ユマニチュード技法の解説書にしめされている技法を細分化して部品となるオペラント反応を定義することが試みられた。具体的には、見る、話す、触れる、立たせるという4つの介護技術を、オペラント反応の構成要素である弁別刺激、オペラント反応、教科刺激という3要素を用いて記述することが試みられた。たとえば、介護者が被介護者を同じ高さで正面から見るというオペラント行動は、被介護者が弁別刺激であり、視線の高さを同じくらいにして正面から見るという行動がオペラント反応であり、被介護者が見られたことに気づく等の行動の変化が強化刺激であると考えられた。一方、被介護者の視点から見ると、介護者が自分を見ていることが弁別刺激であり、それに反応して行動を変化させることがオペランと反応であり、被介護者が自分の行動の変化に反応して挨拶などの行動を行うことが強化刺激となっていると考えられた。さらに、これらの介護者と被介護者のオペラント行動は、互いに弁別刺激と強化刺激を提示し合いながら相互作用を行っていることは明らかである。従って、介護者のオペラント反応を記述するシステムを構築することは可能であること、および、介護者のオペラント反応の記述に加えて、被介護者のオペラント反応を記述するシステム、および、それら2つのシステムの相互作用を記述するシステムもまた構築する必要があることが明らかにされた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、ユマニチュードをオペラント行動として単純な要素に分解し、次に、それぞれの要素の効果を評価する研究を行う予定通りであった。だが、ユマニチュードをオペラント行動として記述するためには、介護者のオペラント行動、被介護者のオペラント行動、および、それらの相互作用を記述する3つのシステムが必要であることが明らかになり,研究計画を変更してオペラント行動の記述システムについての研究を現在進めている。以上のことから、計画通りの進捗状況ではないがおおむね順調と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、介護者のオペラント行動、被介護者のオペラント行動、およびそれらの相互作用を記述するシステムの開発研究を行い,それが完成した後に当初に計画されていた評価研究を行う予定である。介護者と被介護者の相互作用を記述するシステムの開発は新しい試みであることから,当初の計画からすると回り道ではあるが成果が期待される。
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Causes of Carryover |
当初の計画では、ユマニチュードをオペラント行動として記述するシステムの開発を行い、その後それぞれのオペラント行動の効果を評価する研究を行う予定であった。だが、研究の途中でオペラント行動を記述するシステムの開発研究を継続する必要性が生じたため、評価研究を延期し、オペラント行動の記述システムの開発に専念した。このことが次年度使用額が生じた理由である。
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