2022 Fiscal Year Annual Research Report
介護行動の行動分析に基づくユマニチュード評価システムの開発
Project/Area Number |
19K03378
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
高橋 雅治 旭川医科大学, 医学部, 教授 (80183060)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池上 将永 旭川医科大学, 医学部, 准教授 (20322919)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ユマニチュード / 認知症 / オペラント |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度は、ユマニチュードを構成する「見る、話しかける、触れる、立つ」 という4つの介護技術の効果を検討した研究を統合的に整理することを目的として、日本心理学会第86回大会で「ユマニチュード研究の現在と未来」という題名のシンポジウムを行い、それぞれの技法の効果を検討した研究の整理を行った。その結果、これら4つの介護技術を、弁別刺激、 オペラント反応、教科刺激というオペラント条件づけの3要素を用いて記述することが有用であること、および、ユマニチュードの効果を検討するためにこれまでに提案されてきた評価次元の妥当性を検討する必要があることが示された。 研究期間全体を通して、ユマニチュードの効果を分析した文献を整理した結果、日本語と英語の文献のどちらにおいて も、質的研究、事例研究、総説等が大部分を占めており、ユマニチュードの効果の系統的な量的研究が少ないことが示された。質的研究や事例研究では、対照群となるデータがないことが多く、ユマニチュードの効果を量的に評価するには不十分であった。また、量的研究では、介護者への効果の分析が多く、被介護者への効果を検討した研究は少ないことも示された。従って、今後はユマニチュードが被介護者の行動心理的な問題行動に及ぼす効果を系統的に検討する必要があることが示唆された。 加えて、介護者と被介護者のオペラント行動は、互いに弁別刺激と強化刺激を提示し合いながら相互作用を行っていることは明らかであり、介護者のオペラント反応の記述に加えて、被介護者のオペラント反応を記述するシステム、および、それ ら2つのシステムの相互作用を記述するシステムもまた構築する必要があることもまた明らかにされた。
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