2022 Fiscal Year Annual Research Report
性格特性と認知スタイルに基づく視覚的注意制御の個人差の解明
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19K03380
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中島 亮一 京都大学, 情報学研究科, 准教授 (30626073)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 視覚的注意 / 個人差 / 個人特性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の目的は、人間の情報処理の中心的な役割を果たす注意機能について、パーソナリティ等の個人特性に注目して検討することであった。注意機能は、覚醒(課題に対する準備を整える)、定位(適切な位置・対象に注意を向ける)、競合解消(不要な情報を抑制する)のサブ機能に分けられる。これらのサブ機能の個人間差について、探索的に検討を行った。 2022年度は、昨年度に引き続き、主に人間の頭部方向と視覚的注意の定位の関係の個人間差について検討した。頭部と視線の方向が異なる横目観察と、身体に対して頭部を別の方向に向ける振り向き観察という観察姿勢に着目し、頭部方向に基づく視覚的注意の空間的な偏りについて検討した。この視覚的注意の空間的偏りが、眼球が動こうとする信号によって生じると考えると、両観察状況において眼球が非意図的に動こうとするという共通点があるため、影響の大きさという違いはあるが、類似したメカニズムの関与が示唆された。その他にも、刺激のグルーピングによって競合の解消機能が変わるか、注意と行為主体感についても、個人差を関連させて検討を行った。これらの成果を国内学会や国際誌で発表した。 研究期間全体では、注意ネットワーク課題を用いて測定した注意のサブ機能について、行動抑制系・行動賦活系の特性との関連、マインドフルネス瞑想トレーニングを行うことによる機能向上の個人差要因についての知見が得られた。それだけではなく、頭部方向と視覚的注意の関係というトピックについても、観察姿勢の違いを超えた個人内の共通点という観点から知見を得ることができた。特に、国際誌論文として発表したマインドフルネス瞑想トレーニングと注意機能向上については、先行研究の結果は一貫していないが、実験参加者の個人特性という要因を加えることでそれを解決できる可能性が示唆しており、大きな意義がある。
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