2021 Fiscal Year Annual Research Report
精神疾患モデル動物の症状緩和に関する生理心理学的研究
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19K03383
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
岡田 隆 上智大学, 総合人間科学部, 教授 (00242082)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 偽薬効果 / トラマドール / ラット / ストレス / スクロース選好試験 / 強制水泳試験 |
Outline of Annual Research Achievements |
精神症状の緩和における薬効に影響を及ぼしうる偽薬効果の動物モデル確立が重要であることから、中温度ホットプレートの床を通って甘味水を求めるオペラント行動を学習させた後、鎮痛剤によるオペラント行動回復効果と、その後の生理食塩水投与による影響を検討した。オスのSDラットを被験体とし、甘味水を摂取するために通路(室温)を通る訓練試行を計6回行い、被験体が出発箱から通路に出るまでの潜時と、出発箱と報酬箱とを1試行中に往来する回数を測度とした。続いて、床温度を摂氏48度とした際の測度をベースラインとし、室温条件での再訓練をはさみ、本試行(薬剤投与あり、床温度摂氏48度)として次の通り3試行実施した。鎮痛剤群・偽薬群・統制群を設定し、鎮痛剤群は第1試行・第2試行・第3試行とも課題開始30分前に鎮痛剤(トラマドール、19.5mg/kg)投与、偽薬群は第1試行・第2試行においては鎮痛剤投与、第3試行においては生理食塩水投与、統制群は第1試行・第2試行・第3試行とも生理食塩水投与とした。その結果、第3試行において偽薬群が床を通過した回数は統制群と同程度であり、鎮痛薬群よりも多かったため、今回の実験条件下における偽薬効果は検出されなかった。鎮痛剤投与下において床の通過回数が一貫して減少していることから、今回用いた鎮痛剤はオペラント行動自体に抑制的な影響を与えた可能性がある。今年度はまた、鬱の動物モデルとして慢性緩和ストレス刺激を与える手法について、誘発される鬱様行動の程度に性差が見られるかどうかを検討した。雌雄のWistarラットを被験体とし、3週間にわたってストレス刺激(断水・断食・床敷濡れ、ケージ傾斜、拘束、高温環境、明暗サイクル逆転)への曝露を1日1種類ランダム順に行った。鬱様行動試験としてスクロース選好試験と強制水泳試験を用いた。その結果、これらの行動試験結果に性差は見いだされなかった。
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