2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of rat behavior model of free-rider avoidance
Project/Area Number |
19K03387
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
畑 敏道 同志社大学, 心理学部, 教授 (50399044)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | フリーライダー / 不公平忌避 / ラット |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,ラットが"ただ乗り"されることを避ける(フリーライダー忌避)と考え,研究を計画した。以前我々が実施した実験の追試を行う必要があると考えられたため,その追試を行った。1つのレバーと2つの餌皿,およびそれぞれの餌皿の上にランプが設置されたオペラント箱を用いた。左右いずれかの餌皿の前に透明な箱を置き,フリーライダー(F)ラットをその中に,ワーカー(W)ラットをその外に置いた。箱が置かれた餌皿にはWラットはアクセスできなかった。各試行の開始時に,レバーがオペラント箱内に差し入れられると同時に左右いずれかのランプが点灯した。試行開始から8秒経過後の最初のワーカー(W)ラットのレバー押し反応に随伴して,ランプが点灯した側の餌皿に餌ペレットを提示した。実験群では,Fラットは餌皿にアクセス可能であったが,統制群では仕切り板が邪魔となってアクセス不可能であった。いずれの群でも,筒が設置されていない側のランプの点灯は,Wラットにとって餌が摂取可能であることを予告した(S+)。一方、筒が設置されている側のランプの点灯は,餌が摂取不可能であることを予告した(S-)。すなわち,S-試行はいずれの群のWラットにとっても消去試行となっていた。さらに実験群のS-試行には,提示された餌をFラットが摂取することの効果が加わると考えた。従属変数は各試行開始から8秒間のレバー押し数の総数であった。我々の先行研究では,S-試行でのレバー押し反応数は実験群にのほうが少なく,フリーライダー忌避を示唆する結果であったが,今回の実験では統制群のほうが少なく,フリーライダー忌避を示唆する結果は得られなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本申請課題の前提となった我々の研究では,ラットがフリーライダー忌避を示すことが示唆された。その後この結果の再現性に疑問があることがわかったため,追試を行った。その結果,フリーライダー忌避を示す証拠が得られなかった。後の研究ではフリーライダー忌避を示唆する結果が得られることを前提としていたため,後に予定していた実験にも遅れが生じると予想される。このことから,研究の進展は遅れていると評価される。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き,フリーライダー忌避を頑健に示すことのできる課題を模索する必要がある。我々の先行研究との不一致は,実験手続き上のわずかな違い(餌皿とラットを仕切る板が透明であるか否か)によって生じた可能性があるため,この可能性を検討する実験を計画している。最近,我々の研究室では,胎生期での薬物暴露による出生後の社会的行動の変化について研究している。フリーライダー忌避は自己と他者の報酬や労働を比較した結果生じる社会的な行動であると考えられるため,両研究を結びつけた発展的研究も模索している。 基本的な行動課題を洗練させることが必要である。
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Causes of Carryover |
学会が軒並みオンライン開催となったため,旅費は使用しなかった。実験補助などを依頼しなかったため,人件費は発生しなかった。研究が予定通りに進まなかったため,英文校閲費などの謝金が発生しなかった。次年度,実験装置・器具の購入と補習,試薬類の購入、実験動物関連費として90万円程度,学会出張費として10万円程度,実験・分析補助や英文校閲などの人件費・謝金として30万円程度,その他の雑費として20万円程度を使用予定である。
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