2023 Fiscal Year Annual Research Report
A study on multiplicative functions and zeros of zeta functions
Project/Area Number |
19K03392
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Research Institution | Otaru University of Commerce |
Principal Investigator |
赤塚 広隆 小樽商科大学, 商学部, 教授 (30535860)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 乗法的関数 / ゼータ関数 / 約数和 |
Outline of Annual Research Achievements |
「リーマン予想はある約数和に関する不等式と同値である」というRobinの結果に代表されるように、乗法的関数とゼータ関数の零点が関わりを持つことがある。本課題では、乗法的関数と零点の関係を見つけるのが目標である。 本研究の成果は次のとおりである。(1)約数の冪乗の和で定義される乗法的関数について、その上極限に関する性質とリーマンゼータ関数の非自明零点、オイラー積の間の直接的な関係を記述した。特に、非自明零点の存在領域に関する適切な仮定の下、上極限に関する性質を得た。また、この乗法的関数が大きな値を取る候補となる数(superior highly composite numberと呼ばれる数の一般化)に関して、パラメータを固定したときの個数に関する結果を得た。(2)リーマン予想と関連する関数として、Bettin-Conreyが導入した三角関数の有限和がある。この有限和は正の有理数xをパラメータとする。単体では解析的に良い性質を持たないが、xと1/xで適当に組み合わせると正則関数になる、という相互法則的な性質がある。本研究では、この正則関数のx=1近くのテイラー展開係数の漸近展開を得た(九州大学の村上友哉氏との共同研究)。(3)剰余環Z/nZ上の一般線型群などの個数で定義される乗法的関数について、基礎的事項の整備を行った。なお、代数体と関連する乗法的関数とゼータ関数の零点の関係についてはまとまった結果を得ることはできなかった。 本年度は、主に(1)と(2)について取りまとめを行った。(2)については村上氏と共著論文を完成させ投稿した。(1)については、論文作成とともに、以前うまくいかなかった「上極限に関する性質がゼータ関数の非自明零点の存在領域を規定するだろう」という部分を再検討した。具体的な結果を得ることはできなかったが、ゼータ関数を含む関数の解析的性質に帰着することがわかった。
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