2019 Fiscal Year Research-status Report
頂点作用素代数のモジュラー不変性とテンソル圏に関する研究
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19K03406
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
有家 雄介 鹿児島大学, 法文教育学域教育学系, 准教授 (50583770)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 頂点作用素代数 / モジュラー形式 |
Outline of Annual Research Achievements |
フュージョン則に関する部分では,当初の研究計画通り,頂点作用素代数の捩れ加群上の交絡作用素に関する研究を行い,頂点作用素代数の自己同型と,射影直線上の3点共形ブロックの関係について考察し,交絡作用素の空間と同型になるような余不変量の空間の定義についての結果を得た.
モジュラー形式の側では,正定値偶格子上のテータ写像の概念を頂点作用素代数に一般化した.具体的には,頂点作用素代数の特異ベクトルに対して,そのトレース関数をデデキントのエータ関数のべきで割ることによって,特異ベクトルの空間から,一般には分数ウエイトも許す合同部分群に関するカスプ形式への写像を定義した.さらに,頂点作用素代数の自己同型群がリー群となる場合に,その固定点以外の部分では消えることを証明した.ランク2のいくつかの格子上ではその自己同型群で固定される部分集合からカスプ形式の集合への単射を定めるが,頂点作用素代数に対するテータ写像はこれらの格子に付随する場合にも単射にはならないことを確認した.
ここで考えた格子に付随する格子頂点作用素代数に関するテータ写像の像が一般にどのようなモジュラー形式となるかも考察した.特に,共形デザイン理論との関連から,あるウエイトの特異ベクトルを具体的に構成し,そのテータ写像による像を対応する合同部分群に関するモジュラー形式の多項式として表示した.さらに,これらのテータ写像による像の満たす微分方程式を導出した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
フュージョン積に関する研究課題では,自己同型による捩れ加群に対する交絡作用素と射影直線上の共形ブロックの対応に関する結果を得た.また,当初の研究計画とは多少異なる内容だが,格子に付随するテータ写像を頂点作用素代数に一般化し,それを具体的な頂点作用素代数に対して計算することで,頂点作用素代数とモジュラー形式および自己同型群の関係に関する結果を得ることができたため.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度に得られた知見を用いて,頂点作用素超代数の表現圏とモジュラー形式の関係について考察する.特に,その捩れ加群たちのフュージョン積の構造を共形ブロックとの関係を用いて解析し,その偶部分の表現圏との関係を探る.
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Causes of Carryover |
計算機や書籍を購入するための物品費を計上していたが,本年度は大学の改修のため狭い研究室に移転中のため,設置場所の関係で購入を見送った.また,コロナウイルスの影響で3月末に予定していた出張が行えなくなったので未使用額が発生した.
未使用額は,改修の完成を待って計算機および書籍の購入に充てる.
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Research Products
(2 results)