2023 Fiscal Year Annual Research Report
頂点作用素代数のモジュラー不変性とテンソル圏に関する研究
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19K03406
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
有家 雄介 鹿児島大学, 法文教育学域教育学系, 准教授 (50583770)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 頂点作用素代数 / モジュラー微分方程式 / モジュラー不変性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,頂点作用素超代数の指標のモジュラー不変性において重要な役割を果たすモジュラー微分方程式について考察した.モジュラー微分方程式はセール微分と呼ばれる微分作用素に関する微分方程式であるが,本年度はこのセール微分に関するロンスキアンについての研究を進め,頂点作用素超代数の指標のロンスキアンが,デデキントのエータ関数,モジュラーウェーバー関数およびモジュラー形式の積で表示できることを証明した.また,表現圏が半単純であるような頂点作用素超代数の指標に関するロンスキアンが0にならないことと,その指標があるモジュラー微分方程式の解となることが同値であることを証明した.これを用いて前年度に得られたスーパーヴィラソロ代数の指標の微分方程式に関して,より簡明な証明を与えることができた.
研究期間を通じては,特に頂点作用素超代数に付随する一点関数と合同部分群やそのモジュラー形式との関係について,これまで考察されてきた群やモジュラー形式が実際にはより大きい群のモジュラー形式となっていることを明らかにすることができた.さらに,その合同部分群に関するモジュラー微分方程式とその解についても考察し,ロンスキアンの新たな表示を得た.この結果をN=1およびN=2のスーバーヴィラソロ代数の指標に用いることで,これらの指標の満たす微分方程式の階数を決定し,指標の空間の次元が小さい場合には,微分方程式の具体的な表示を得ることに成功した.
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