2021 Fiscal Year Research-status Report
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19K03416
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
越谷 重夫 千葉大学, 先進科学センター, 特任教授 (30125926)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 有限群 / モジュラー表現論 / 森田同値 / ブロック / 不足群 / 二面体群 / 準二面体群 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度には、査読付きの論文5編が出版された。すべて「有限群の表現論における局所大域予想」についての論文である。 局所大域予想の一つブルエ予想を解く際も必要となる安定同値を与える両側加群の役割が重要である。一つ目の論文では、この両側加群のスコット加群の「ブラウアー直既約性」をシロー部分群が、準2面体群である場合に証明した。トルコの研究者I.Tuvay との共著である。局所大域予想でのブラウアー予想に、有限群の主ブロックの既約指標の個数が小さいときに、このブロックの不足群がどのくらい決まるか、という大問題がある。二つ目の論文ではこの数が4である場合にこの問題を解いた。ロンドン数学会の雑誌に掲載された。櫻井太朗との共著である。三個目の論文では、スイス人 C.Lassueur との共著で、不足群が巡回群である有限群のブロックに属する、自明なソースを持つ加群が与える通常指標を分類記述した。四番目の論文では、上記一つ目の論文と同じ共同研究者とシロー部分群が環積2群の場合に関して、上記と同様な問題を考察した。最後五番目の論文では、シロー部分群が準2面体群である主ブロックの完全なる分類をした。C.Lassueur とB.Sambale との共同研究である。アメリカ数学会の雑誌の一つに掲載された。 C.Lassueur (ドイツ・カイザースラオターン工科大学)との共同研究のために、海外出張を予定してたが、新型肺炎ために中止となってしまった。その代わりZoom 等で彼女と共同研究を行った。 また、今年1月に上記の共同研究者の一人 I.Tuvay が主催のセミナーで、講演を MicrosoftTeams を通じて行った。2月には京都大学数理解析研究所での共同研究集会で講演を行った(Zoom を用いて)。そして先月3月には、東京名古屋代数セミナーで、90分2回の講演を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
以下、主ブロックについて述べる。すると「有限群の表現論(詳しくは、素数 p に関する p-モジュラー表現論)における局所大域予想」の意味するところは、まず大域とは、考察している有限群 G の p-モジュラー表 現論のこと、一方、局所とは、G のシロー p部分群 P の正規化群 H の p-モジュラー表現論のことである。そして、ここでの予想とは、具体的には、「G に於けるPのp融合系(fusion system)と Hのそれが同じ場合には、上記、大域と局所でのp-モジュラー表現論は非常に良く似ている」を証明せよ、という内容である。我々は、すぐ上の「研究実績の概要」で述べた通り、いろいろな角度から、この予想の部分解を与えている。これが、「おおむね順調に進展」と言える理由である。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度に出版された5つ目の論文と同じ目的で、ただし対象となるシロー部分群が環積2群の場合について、主ブロックの分類を目指したい。たまたま2021年度出版された4番目の論文で、対応しているスコット両側加群のブラウアー直既約性を証明することができているので、これを大いに活用すれば、恐らく上手くいくのではないかと想像している。これは、直既約加群の同型類の個数が無限で、その上tame型(添字付可能)でもない最初の場合、つまり wild型、なのでこれが証明できれば、かなり大きな結果となるので、大いに期待している。 あと2014年からすでに8年以上継続している Thomas Weigelと彼の元学生(共にイタリア・ミラノ大学)との共同研究もきちんとまとめて、論文の形にしたい。
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Causes of Carryover |
令和3(2021)年度も、前年度に引き続き新型肺炎コロナの世界的流行のため、多くの計画の変更を強いられた。特に今回の課題では海外研究者との共同研究がかなりの割合をしめているため、研究打合せ、研究連絡、セミナーでの研究成果発表、研究集会での研究発表などは、当初はすべて海外のそれらの場所へ行って、直接顔を見合わせて(face to face で)議論する予定になっていた。そこで、これらを翌年度(令和4 (2022)年度)に繰越して、ここ2年間できなかった形での研究を進める予定でいる。
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Remarks |
http://www.math.s.chiba-u.ac.jp/~koshitan/index.html http://www.math.s.chiba-u.ac.jp/~koshitan/index-e.html
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Research Products
(11 results)