2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K03417
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
山形 邦夫 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 名誉教授 (60015849)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 有限次元多元環 / 加群 / フロベニウス多元環 / 国際共同研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
1)有限次元多元環研究の中心課題の一つであるフロベニウス多元環は1930年代半ばに今日の研究の基礎が確立された.そして近年は有限次元多元環が様々の分野に関連していることが知られるようになり,特に曲面との関連が発見されるようになった.このような研究の一つに Skowronski と Erdmann による,二次元コンパクトリーマン多様体から構成されるフロベニウス多元環の研究がある.この多元環は「重み付き曲面多元環」あるいはそれを一般化した「一般重み付き曲面多元環」などとよばれ,有限次元多元環の表現論における新しい研究対象として研究が続いている.当該年度は,Skowronski と研究代表者とによって提案された礎石同型の概念を用いて,Skowronski と Erdmann,Bialkowski, Hajduk 等との共同研究として,一般重み付き曲面多元環に礎石同型となる有限次元対称多元環を分類する研究を行った.その結果,このような有限次元対称多元環は4周期を有する順表現型多元環であることを証明した.また,基礎体の標数が2である場合に,このような有限次元対称多元環の構造を決定することができた. 2)Skowronski との共同研究として長年に渡って行ってきた自己入射軌道多元環に関する研究によって得られた種々の成果を,有限個の直既約加群による礎石同型軌道多元環定理(2019年に代数の専門誌に発表)に基づいて見直し,体系付ける試みを始めた. 3)フロベニウス多元環とその表現に関する研究成果のまとめとしてヨーロッパ数学会より出版予定の本の原稿執筆を引き続き準備した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
共同研究者のSkowronskiと考案した礎石同型という概念を応用して,曲面から得られる対称多元環に関する研究成果を上げることができた.これは本研究費申請時には想定していなかった成果であり,4周期の順対称多元環の分類問題に貢献をすることができた.
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Strategy for Future Research Activity |
今後も海外共同研究者と連絡をとりながら研究を遂行する。具体的な研究課題としては,フロベニウス軌道多元環に関してまだ証明できていない課題の解明を目指すとともに,これまでに得られた多くの研究成果の見直しを継続し,統一された軌道多元環理論の確立を目指す.また剛性次元の研究についても一般理論の応用として種々の多元環の剛性次元について調べる.
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Causes of Carryover |
理由:参加予定だった国内外での研究集会や共同研究者の所属機関での打ち合わせなどが,COVID-19の感染拡大により中止となったことにより,予定していた旅費が未使用となった. 使用計画:次年度の旅費や,情報収集,整理などの環境整備の補助に使用する。
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