2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19K03425
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
田上 真 九州工業大学, 大学院情報工学研究院, 准教授 (50380671)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 代数的組合せ論 / Delsarte理論 / Grassmann scheme / Bilinear forms scheme |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度において,ガロア環上の行列符号を考察し,bilinear forms schemeのガロア環版を導入して,研究を行った。これは本研究室の修士学生である小椋大雅氏,川添聖氏との共同研究である。通常,bilinear forms schceme は有限体上の行列全体のなす集合上で,ランクを用いて関係を入れ,定義されるが,環上では行列にランクの概念が存在しないため,そのままではアソシエーションスキームは定義されない。本研究では,ランクを拡張させた概念である行ベクトルで生成される部分加群(行空間)のタイプを用いた。列ベクトルで生成される部分加群(列空間)にも同様にタイプを考えると,行空間のタイプと一致し,体上の行列と同じ性質が成り立つことがわかる。行列の差の行空間のタイプを用いて,関係を入れると,新しい対称アソシエーションスキーム(ガロア環上のbilinear forms scheme)が得られることが分かった。次に,本研究ではGrassmann schemeのガロア環版も考察した。通常考えられている体上のGrassmann scheme は定次元部分空間全体からなり,共通部分空間の次元を用いて関係を入れるが,ガロア環上では次元の概念がないので,次元を部分加群のタイプに置き換え,理論を構築した。固定したタイプの「自由」部分加群全体の集合をGrassmann schemeということにすると,一般線形群の作用により得られるアソシエーションスキームになることがわかった。 体上のBilinear forms schemeやGrassmann schemeは近年ネットワーク符号への応用で注目を集めており,上記のガロア環上の2つの新しいアソシエーションスキームにより,全く新しい代数的組合せ論的観点からの符号理論(デザイン理論)が構築されることを今後期待している。
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