2019 Fiscal Year Research-status Report
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19K03430
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
吉田 健一 日本大学, 文理学部, 教授 (80240802)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | Hilbert-Kunz 重複度 / F-signature / regular / F-regular / Frobenius morphism / Frobenius pushforward / Cohen-Macaulay / canonical module |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者は渡辺敬一氏らと共に Hilbert-Kunz 重複度の下限問題を研究し, Hilbert-Kunz 重複度による正則局所環の特徴づけ, 十分小さな(1に近い)Hilbert-Kunz 重複度を持つあ非正則局所環と単純特異点の関係を研究してきた。その中で, 2次元の Cohen-Macaulay 局所環について,極大イデアルに関する Hilbert-Kunz 重複度と通常の重複度に関する基本的な不等式は重要な役割を果たしていたが,本研究において, Smirnov 氏との共同研究により, その不等式を高次元の場合に,極大イデアルに属するより一般のイデアルに関する不等式に拡張することができた。しかし, その不等式は3次元以上ではまだ最良の評価ではなく, 今後も更なる精密化が必要である。また,本研究においては3次元の場合にのみ等号成立を議論することができたが,4次元以上についてはまだ予想すらたっていないのが現状である。これらの問題を困難にしているのは, 正則局所環に近い(F-)有理特異点に対する理解不足である。本研究を推進する理由には、そのような有理特異点の発見につながることも期待していることも否めない。 さらに, 本研究において, Hilbert-Kunz 重複度に関係の深い F-signature の重要性を認識し, Hilbert-Kunz 重複度の下限問題にパラレルな問いとして, F-signature の上限問題を検討し始めた。その過程で, F-signature が1/2を超すか越さないかについては興味深い幾何的な考察が可能であることが判明し,加群論の視点から考察し, F-signature がちょうど1/2になる環の構造に関する定理を得ることができた。考察の課程で, 中嶋祐介氏、J.Jefferies 氏の協力を仰ぎ, 成果を整理している段階である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Smirnov 氏の協力により, 正標数の可換環論における古典的な成果を見直し, 研究代表者が最近研究していた加群論を利用することにより, Frobenius pushforward に関する詳細な結果が得られた。これは当初予想していなかった成果であり, 中嶋祐介氏, J.Jefferis を加えてトーリック環の場合を調べると, Hilbert-Kunz 重複度に関係の深い F-signature に関する新しい知見が多く得られ始めている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究において得られた成果は F-signatureに関する成果としては先駆的な結果であるが, 必ずしも満足できるものではない。本研究の残りの期間では,その成果のうち比較的低次元の場合(特に3次元の場合)により精密な結果を得ることが目標である。
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Causes of Carryover |
本来は2月に熊本で開催予定であった研究集会などに参加・講演を企画していたが, 新型コロナの影響で研究集会そのものが取り消しになったことによる。現状では, 研究集会の予定が未定であり,予定が立っていないが,年度後半には開催を期待している。
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