2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19K03432
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
尾崎 学 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (80287961)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 岩澤理論 / 全円分拡大 / Z_p-拡大 / 類数 / K-群 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究で得られた主たる研究成果は以下の通りである: 1.kを有理数体Qの総虚な有限次拡大で,Qの円分的Z^-拡大Q~(Z^はZの副有限完備化)との共通部分がQであるものとする.そしてk~:=kQ~として,L/k~を最大不分岐Abel拡大とする.このとき,X(k)=Gal(L/k~)のZ^[[Gal(k~/k)]]-加群としての構造がkのGalois閉包を完全に特徴付ける.すなわち,k_1,k_2が有理数体の総虚な有限次拡大であり,X(k_1)とX(k_2)がZ^[[Gal(Q~/Q)]]-加群として同型であればk_1とk_2のGalois閉包は一致することを示した.さらに,k_1/QがGalois拡大であるならばk_1=k_2が成立する。 2.総実代数体k上の全円分拡大K:=k(μ)/kにおいて、K上の最大不分岐アーベル拡大のガロワ群をX(k)とするとX(k)はZ^[[Gal(k(μ)/k)]]-加群の構造を持つ.このX(k)がkのデデキントゼータ函数を完全に決定することを示した.つまり, X(k)とX(l)がGal(Q(μ)/Q)-加群として同型であればkとlのデデキントゼータ函数は一致する。 3.代数体のpro-p-拡大における様々な数論的不変量のp-進極限に関して研究を行い研究成果を得ることができた.この研究の動機付けとなったのは,吉崎氏(東京理科大学)と植木氏(お茶ノ水女子大学)による,代数体のZ_p-拡大における類数のp-進収束性に関する先行研究である.私はこれを一般化して,まず代数体の有限生成pro-p-拡大においても類数がp-進的に収束することを証明した.その証明は有限p-群の表現の詳細な分析を駆使して行われる.さらにアーベル体上の円分的Z_p-拡大の場合にp-進L函数を用いて,類数とK_2-群の位数のp-進極限の間に簡明な関係式が存在することを示した.
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