2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K03434
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
田中 立志 京都産業大学, 理学部, 准教授 (60515196)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 根付き木Hopf代数 / 根付き木写像 / 調和積 / 多重L値 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の一つの目的は、Connes-Kreimerの根付き木Hopf代数をベースに提唱した根付き木写像に関して、代数的な基礎理論を整備することである。もう一つの目的は、その根付き木写像の代数的拡張と数理物理的応用の探究である。当該年度は、根付き木写像と調和積との関係に関する具象的研究、および根付き木写像の作用する空間の拡張に関する研究を行い、一定の成果を得ることができた。 前者の研究について。計算機の取り扱いに長けている村原英樹氏(中村学園大学)を三度にわたり京都産業大学に招聘して共同研究を行い、根付き木写像の像の調和積を用いた明示公式を予想し、証明することができた。現在論文執筆中であるが、この成果は今後、根付き木のantipodeに対応する写像の特徴づけに関して打ち立てた予想を証明することや、根付き木写像のある基底の特定のために有用であると考え、共同研究をさらに進めているところである。この成果は、第13回多重ゼータ研究集会&第48回関西多重ゼータ研究会(共同開催)における講演で紹介した。 後者の研究について。多重L値の関係式を与えるよう根付き木写像の作用する空間を拡張することができることを若林徳子氏(大阪電気通信大学)との共同研究の中で突き止めた。実際に多重L値の関係式を与えていることも概ね示せたが、その証明の細部を埋めている段階である。この成果は、2019年度RIMS共同研究「解析的整数論とその周辺」および第13回多重ゼータ研究集会&第48回関西多重ゼータ研究会(共同開催)における講演で紹介した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
根付き木写像の調和積との関係性に関する村原氏との研究成果は当初の期待以上のものを一部含んでいる。根付き木写像の多重L値への応用に関する若林氏との研究成果は期待通りの進展を見せている。数理物理的な応用の探究にはまだほとんど着手できていないものの、初年度としては当該研究は概ね順調に進展していると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
根付き木写像の代数的基礎の整備に関する追究、特に村原氏との共同研究で残されている課題の解決や、原始的な根付き木写像の特定、根付き木写像のHopf代数的観点からのさらなる研究を推進する。また、根付き木写像の、周期や振幅など数理物理的対象への応用と、mouldやoperadなどより広い代数的対象への発展を目指す。
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Causes of Carryover |
家庭の事情もあり、旅費の使用が減った。物品費は当初の予定を超えて必要になったが、旅費の減少分がそれを上回った。次年度の研究者招聘費と書籍購入費に充てる。
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Research Products
(2 results)