2019 Fiscal Year Research-status Report
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19K03436
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Research Institution | Muroran Institute of Technology |
Principal Investigator |
竹ケ原 裕元 室蘭工業大学, 大学院工学研究科, 教授 (10211351)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | バーンサイド環 / 束 / 原始べき等元 / 単数群 / 素イデアル・スペクトル |
Outline of Annual Research Achievements |
有限群 G のバーンサイド環の一般化として、lattice(束)バーンサイド環 LB(G) を定義し、様々な性質を示した。それは G の部分群 H と G-lattice L の空でない H が自明に作用する sublattice(部分束) L(H) の組の族がなす圏で定義されるグロタンディック環となっている。特別な場合には、S. Bouc が定義した、スライス・バーンサイド環になっている。また、部分・束バーンサイド環という概念を導入し、特別な場合には S.Bouc が定義した セクション・バーンサイド環が得られることを示した。具体的には、以下のことを示した。 LB(G) から定まる有理数係数の Q-代数 QLB(G) の原始的べき等元公式を示した。公式は、G の部分群束のメービウス関数及び G の部分群 K に対する部分束 L(K) のメービウス関数を用いて記述される。 LB(G) は抽象バーンサイド環であることを示した。これにより、バーンサイド環の基本定理の一般化が得られ、環構造を調べることが容易になった。また、抽象バーンサイド環の単数群を決定するための基準を用いて、特別な場合に LB(G) の単数群を決定した。 あるクラスの LB(G) について、「G が可解であるための必要十分条件は LB(G) の原始べき等元が 0 と 1 に限ることである」という事実を示した。これは A. Dress によるバーンサイド環に関する結果の一般化となっている。LB(G) の原始的べき等元を考察するために、抽象的バーンサイド環の原始べき等元に関する結果を示した。 LB(G) の素イデアル・スペクトルを決定し、バーンサイド環の場合の結果を一般化した。その結果の特別な場合として、スライス・バーンサイド環の素イデアル・スペクトルが得られる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究課題のうちの1つについて、予想通りの結果を得たことで、研究が完了した。
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Strategy for Future Research Activity |
次の課題の研究を進める。有限群 G に対して、G の各部分群 H にモノイド M(H) を対応させることにより、M-バーンサイド環 MB(G) が定義される。有限群のバーンサイド環の間のテンソル誘導写像を MB(H) から MB(G) への乗法的誘導写像に拡張する。拡張されるために写像が満たせばよい1つの十分条件をすでに得ているが、その条件を満たす M-バーンサイド環のクラスが十分にあるかという問題がある。そのようなクラスが多く存在するように、現在の十分条件を精査する。その上で、乗法的誘導写像の最も一般的な構成を実現する。
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Causes of Carryover |
予定していた研究打ち合わせが、延期となったために次年度使用額が生じた。次年度に研究打ち合わせをする際に、旅費として使用する。
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Research Products
(4 results)